短歌|初谷むい

砂金の日々、蜜の泡

もうすっかり町は埋まって雪の日はあなたの声がやや遠くなる

本当のことを言わなかった朝 昼 梅ソーダ飲みながら考えた

泣いているといつも涙の粒っぽさに気付いてちょっと笑ってしまう

電話の向こうで何かを食べる音がしてそのあと感想を教えてくれる

だいじょうぶだよずっと 腕の泡撫でたら泡が光って消えた

あなたがお花見の約束をくれて それで いつもすこしだけ春を待っている

蜜の泡 あなたのかけらが心で育ちちいさな化石のようなのでした



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