
東京五輪「中止」を前に、内なる「戦前」に自覚的であれ|辻田真佐憲
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いまこそ戦前を参照するべきときだ。その思いが日増しに強まっている。ほかでもない、新型コロナウイルスの感染拡大で、懲役刑の導入など、本格的に私権制限の枠組みが検討されつつあるからである。
気になるのは、巷間叫ばれているロジックだ。「ひとがこんなに亡くなっている」「現場はこんなに苦労している」「あと少しだけの辛抱」。なるほど、このような発言は、短期的・個別的に見れば正しいかもしれない。医療従事者の労苦は察するに余りある。だが、これらはあまりに戦時下のスローガンや美談に似てはいまいか。
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