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鈴木おさむ 僕の精子は損傷していた

文藝春秋digital
文・鈴木おさむ(放送作家)

男性で自分の精子に自信がない人っているのでしょうか? 男性は思春期からマスターベーションを覚え、自分の目で精液を確認しているので、精子に問題があるかもと疑う人なんて、中々いないと思うのです。

2014年の春から妊活により妻が仕事を休むことになり、妻が「妊活に入る前に一度、精子の検査行けないかな?」と言いました。それまで過去2回、妻は妊娠しました。残念ながら流産ということになってしまったのですが、「妊娠」はしたので、僕は自分の精子を疑うことはまったくありませんでした。

妻とクリニックへ行きました。3畳ほどの部屋に1人で入るとテレビがあり、つけるとアダルトビデオが流れています。正直、自分の趣味ではないものだったので、持っていたスマホで好みの映像を出して精液を採取。それを看護師さんに出してから30分ほど待ち、夫婦で先生の部屋に呼ばれて結果を聞きました。

1枚の紙に結果が書いてありました。精液の量、運動率(精子の動き)、そして形。まず先生に「運動率が良くない」と言われました。まさかの結果。そして、思わず紙を2度見。精子の「形」の横に「いい・やや奇形・奇形」と書かれていて、「やや奇形」に〇が付いていたからです。今はこのような表記をしないそうですが、初めての精液検査で自分の精子が「やや奇形」とジャッジされたショック。先生は言いました。「旦那さんの精液の状態などを考えても早めに体外受精に進むことをお勧めします」と。

そのあと別の病院でももう一度検査をしましたが、僕の精子の状態は良くありませんでした。そこから自分でも色々勉強してわかったことは、過去2回、妻に悲しい思いをさせてしまったのは、自分の精子のせいだったのかもしれないということです。

2度の精液検査のあと、自然妊娠では授からなかったのですが、人工授精で授かることが出来ました。妊娠したあとも、鍼治療や様々なアシストを受けて息子が2015年に生まれました。まさに子供を授かることは奇跡だと心から感じました。

あれから6年がたち、来年あたり、第2子を授かれないか? と夫婦で話しています。妻は41歳、僕は49歳。数年前にNHKスペシャルで「精子」の最新事情を特集した番組に出演させて頂いたのですが、それがきっかけで知り合った先生の病院で再び精子の検査をさせてもらいました。

その病院でやった検査はそれまでの検査とはちょっと違うものでした。「高度精子精液機能検査」というもので、精子が酸化ストレスなどのダメージを受けると、精子のDNAが損傷することがあるのだそうです。そしてDNAが損傷している精子が多いと妊娠しにくくなるのです。

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