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“有効性95%”コロナワクチン被験者に訊く25の疑問。「注射は何回?」「どんな症状が?」……

新型コロナウイルスのワクチン開発に世界的な期待が高まる中、11月18日にアメリカ製薬大手ファイザー(Pfizer)が「臨床試験(治験)が完了した」と発表した。同社によると、ワクチンの有効性は95%。深刻な副作用もなく、今後、当局に緊急認可申請を行なっていくという。

現時点で、コロナワクチンの情報は少ない。そんな中、筆者はファイザーのコロナワクチンの被験者に話を聞くことができた。

ミケル・フェルナンデス・バロス氏。1981年12月13日生まれ、アメリカ合衆国オクラホマ州在住のスペイン人である。職業は、ソフトウェア開発者だ。

コロナワクチンの治験は、被験者のうち、半分がワクチンを接種し、半分はプラセボ(偽薬)を接種するという方法で行われる。従って、現時点でバロス氏がワクチンかプラセボどちらを接種されたのかはわからない。しかし彼は「私はワクチンを打たれた方だろう」と語る。

そんなバロス氏にコロナワクチンに関する「25の疑問」をぶつけた。/インタビュー&文・宮下洋一(ジャーナリスト)

ワクチン被験者に起こる「症状」は?

——ファイザーの治験には、約4万4000人が参加しているが、このうちの何人がワクチンを受けているのか?

「半分です。半数がワクチンで、半数がプラセボ(偽薬)です。それがこの研究の文書に書かれています。8月6日までに350人を対象に行われたのが、ステージ1。10月5日までに3万6576人を対象に行われたのが、ステージ2、3だと書かれています」

——ファイザーは2回の注射による治験を行うと聞いている。1回目がワクチンで、2回目が偽薬ということはあるのか?

「それはありません。1回目がワクチンであれば、2回目も同じものを打たれます。つまり、1回目が偽薬であれば、2回目も偽薬になるようです」

——ワクチン被験者にはどのような症状が起こるのか?

「ワクチン被験者に起こりうる副作用としては、注射部分の痛み、疲れ、熱、寒気、頭痛、筋肉痛。そのほかの症状としては、注射部分のあざ、かゆみ、食欲不振、関節痛と説明されています。これらの症状は、インフルエンザのワクチンと同類で、アレルギー反応なども起こりうるとも書かれています。そして、動物実験の結果によると、ワクチンを打った後にコロナに罹患した場合は、ワクチンを打たずに罹患した人よりも体調が悪くなる可能性があるとも説明があります。現段階でそのようなことはないが、将来的に深刻化する可能性もあると書いてあります」

——怖い内容だ。

「確かにそうですが、どのワクチンでも同じようなリスクがあると思います。薬を飲むときに説明書をちゃんと読んでしまうと、その薬を飲めなくなるのと同じことです。すべてが恐ろしいものです」

——偽薬でも、ワクチンを打った時と同じ症状が現れるのか?

「いいえ、研究の文書によると『異なる』と書いてあります。偽薬は点滴のような食塩水だと書かれています。偽薬の症状は、次のように書かれています。『偽薬には食塩水が含まれていて、効能を発揮する成分が含まれていない。副作用としては、すでに説明した(ワクチンの)症状が現れることはほとんどない。一定の被験者は、注射部分の痛みやあざがあるとだけ訴えている』。熱が出るとも書かれていません」

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コロナワクチン被験者のバロス氏

熱、筋肉痛、だるさ、疲労、頭痛があった

——バロスさん自身について、時系列で話を聞きたい。いつ最初の注射を打ったのか?

「9月1日の午前9時前後でした。健康診断、血液検査、PCR検査が事前に行われました。この日は、まったく体調に変化がなかった。症状が出たのは、翌2日の午後でした。熱、筋肉痛、だるさ、疲労、頭痛がありました。しかし、この症状が続いたのは5時間だけ。パラセタモール(解熱鎮痛薬)を飲んで症状を抑えると、その後はそうした症状に悩まされることなく、熱もすぐに下がって体調は良くなりました」

——熱はどれくらいあったのか?

「℉だったので℃での具体的な数字は分かりませんが、おそらく38度ちょっとまで上がったと思います」

——そのような症状が出て、怖くなかったのか?

「症状は事前に説明を受けているので、心配はしませんでした。熱が出たら、アプリを通してすぐに報告することになっていたので」

——となると、あなたはワクチンを打たれた可能性が十分ある。

「私はそう思っています。100%確信は持てませんが、そうであるに違いないです。2回とも同じ症状で、38度以上の熱も出ていますので。スペインのテレビ番組に出演した際に、スタジオにいた医師が『あなたの症状は典型的なワクチンの症状に近い』と言っていました」

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バロス氏の被験者カード(本人提供)

まったく無症状の人もいる

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