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新天皇・雅子皇后の素顔「野球談議にびっくり」――王貞治【全文公開】

陛下はお酒、雅子さまは生き物が大好き。ご出産秘話から御所の中の私生活まで……新天皇・皇后おふたりに接した人々が素顔を明かす。

文・王 貞治(福岡ソフトバンクホークス会長)

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 両陛下には今から10年ほど前、東京ドームで行われた第2回ワールド・ベースボール・クラシック第1ラウンド、日本対中国の開幕戦にお越しいただいたことがあります。日本代表監督の相談役だった私は、観戦に訪れた皇太子さま(当時)と雅子さまのご説明役を任されました。

 試合前に始球式の大役もあったのですが、両殿下の前でみっともない姿は見せられないと思い、いつになくプレッシャーを感じたのを覚えています。

 なんとか無事、始球式を終え、貴賓席に戻った時に、皇太子さまから「ナイスピッチングです」と、お声掛けをいただいたのが嬉しかったです。皇太子さまにはそれ以前にもお会いしたことがありますが、いつもにこやかで大変親しみやすい方です。

 お二人は、私の前の席に並んで座られていたのですが、試合中何度も後ろを振り返って質問をされました。

「こういった場面でのバッター心理はどんなものなのですか」

「監督が作戦を立てるには何を重視するものですか」

 といった具合にその質問内容が非常に専門的で、びっくりしたのを覚えています。

 皇太子さまは昔から野球がお好きだとは聞いていましたが、雅子さまも野球に強い関心を持たれているとは知りませんでした。小さいころにソフトボールをされていたそうですから、それであんなに野球に親しんでいたのかもしれません。非常に感激しました。

 3回裏に村田修一が先制のツーランホームランを打った時はお二人とも大きな拍手を送られていました。

 お二人は試合を楽しまれ、あともう少し、あともう少しと当初の予定時間をオーバーして7回まで観戦してお帰りになりました。侍従の方がずいぶん慌てていたのが印象に残っています。

 来年の東京五輪では野球が正式競技に復帰します。両陛下ですからライブ観戦とはいかないかもしれませんが、是非ともお二人でテレビででも観戦なさって、あの時のような「野球談議」に花を咲かせていただければ、嬉しいです。



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