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霞が関コンフィデンシャル 財務省の人事闘争、対ロ外交の破綻、厚労省の巻き返しは?

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日本を動かすエリートたちの街、東京・霞が関。日々、官公庁を取材する記者たちが官僚の人事情報をどこよりも早くお届けする。

★人事闘争の果てに

国際協力銀行(JBIC)の前田匡史代表取締役総裁の6月退任が決まった。背景には、オール財務省から交代を求める声があったという。

昭和57年4月に旧日本輸出入銀行(現国際協力銀行)に入行した前田氏は、経営企画部長、執行役員インフラ・ファイナンス部門長を経て、平成30年6月、初の生え抜き総裁となった。

また旧大蔵省の国際金融局投資第2課への出向経験もあり、旧民主党政権時代には内閣官房参与に就任。故・仙谷由人元官房長官の強い要請でインフラシステム対外戦略を推進した。さらに安倍晋3、菅義偉元首相からの絶大な信頼を得ていた。何より評価されたのが、前田氏の情報収集能力だ。

平成26年5月、ロシアで開かれた国際経済フォーラムに出席した前田氏はウラジーミル・プーチン大統領の最側近、国営石油大手ロスネフチのイーゴリ・セチン最高経営責任者(CEO)から日ロ交渉に関する極秘情報を入手。今井尚哉首相秘書官(昭和57年、旧通産省入省)に報告すると、安倍首相の外遊先であるシンガポールに急遽、呼ばれたとの逸話がある。

岸田文雄首相からの信頼も厚く、3月23日、前田氏は官邸に招かれ、ロシアへの経済制裁の助言を求められている。一方、財務省は省を挙げて、この2年あまり、林信光代表取締役副総裁(元国税庁長官・55年、旧大蔵省)の総裁昇格の機会を窺ってきた。

総裁ポストを財務省に取り戻すだけではなく、前田氏に暴言を吐かれたなど、歴代財務省幹部たちの個人的な体験も大きいという。

財務省の人事闘争は、結局、林氏昇格の代わりに前田氏を取締役会長に据えることで、決着を見たのだった。

岸田文雄

岸田氏

★対ロ外交の破綻

ウクライナ侵攻に伴う制裁、ロシアからの平和条約交渉の拒否によって、日本の対ロ外交は破綻した。

侵攻直後、ロシア制裁への日本政府の動きは鈍かった。首相官邸を度々訪れていた親ロ派である鈴木宗男参院議員の意向を忖度し、秋葉剛男国家安全保障局長(昭和57年、外務省)は慎重な姿勢を崩そうとしなかった。

日ロ交渉に前のめりだった安倍政権の負の遺産もあった。

当時、日ロ交渉の主導権は外務省から官邸に移り、今井元首相秘書官、長谷川榮一元首相補佐官(51年、旧通産省)が担った。当時、官房長官だった菅氏や谷内正太郎元国家安全保障局長(44年、外務省)は完全に蚊帳の外に置かれた。

この間、今井氏と長谷川氏による縄張り争いもありながらも経産省組が対ロ外交の前面に立った。現内閣で官邸官僚を束ねる嶋田隆首相秘書官(57年、旧通産省)にとって今井氏は同期、長谷川氏は先輩。なるべく首を突っ込まない姿勢が今回、初動の遅れにつながった。

米欧が制裁強化に突き進むと日本も歩調を合わせたが、官邸内には「日本はロシアと特殊な関係にあるので、独自の対応は許される」との甘い観測もあった。

他ならぬ岸田首相本人がそうだ。安倍政権時代、岸田氏は4年8カ月にわたって外相の任にあり、中込正志首相秘書官(平成元年、外務省)が一貫して外相秘書官として仕えた。経産省組に主導権をとられていたとはいえ、2人が世界情勢の激変に機敏に対応できたとは言い難い。

結果的に対ロ外交でも岸田官邸は安倍路線を払拭することとなったが、さりとて新たな外交路線があるわけでもない。事態の長期化とともに、前途多難は避けられない。

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鈴木氏

★厚労省の巻き返しは?

行き詰まる社会保障制度の改革機運が芽生えるか。かつて社会保障と税一体改革の仕掛け人の1人だった山崎史郎氏(昭和53年、旧厚生省)が年初に全世代型社会保障構築本部の総括事務局長に就任した。このサプライズ人事には一体改革に政治生命を賭した故・与謝野馨氏の腹心たる嶋田首相秘書官の意向が働き、「ポスト一体改革に行き着くか」(政府関係者)と注目が集まる。

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