数字の科学_佐藤健太郎

数字の科学――人間に必要な睡眠時間

サイエンスライターの佐藤健太郎氏が世の中に存在する様々な「数字」のヒミツを分析します。

今回の数字:人間に必要な睡眠時間=7

 現代人――中でも漫画家など締切に追われる職業は、どうしても睡眠が不足しがちだ。しかし先年亡くなった水木しげるは、どんなに忙しくとも必ず1日10時間は眠っていたという。氏がこのことを手塚治虫と石ノ森章太郎に話したところ、そりゃ羨ましい、自分たちは2日も3日も徹夜だ、とバカにしたように返されたそうだ。だが結果として、手塚・石ノ森はいずれも60歳で早逝し、水木は93歳の天寿を全うした。「忙しくてろくに寝ていない」と、なぜか自慢げに言う人は多いが、睡眠時間と共に実は自分の寿命をも削っていることを胸に刻むべきだろう。

 しかし、動物が睡眠を必要とするのは実に不思議なことだ。活動可能な時間は大いに減るし、寝込みを敵に襲われるリスクも大きい。にもかかわらず、眠らない動物は進化の歴史を勝ち抜けなかった。イルカなどには脳が半分ずつ交互に眠るものがいるし、空を飛びながら眠る渡り鳥さえも存在する。

 こうまでして睡眠が必要な理由は、いろいろいわれている。もちろん脳の休息時間でもあるし、起きている間に得た情報を整理し、脳内に定着させてゆく時間でもある。動物が生き抜くためには、こうした作用が不可欠なのだ。

ここから先は、有料コンテンツになります。今後、定期購読していただいた方限定のイベントなども予定しています。

★2020年1月号(12月配信)記事の目次はこちら

この続きをみるには

この続き: 662文字
この記事が含まれているマガジンを購読する
月刊誌『文藝春秋』の特集記事を中心に幅広いテーマの記事を配信しています。政治家や経営者のインタビュー、芸能人の対談、作家のエッセイ、渾身の調査報道、一流作家の連載小説、心揺さぶるノンフィクション……月額900円でビジネスにも役立つ幅広い「教養」が身につきます。

文藝春秋digital

月額900円

知と教養のプラットフォーム。一流の作家や知識人、ジャーナリストによる記事・論考・ルポルタージュなどを毎日配信。執筆陣のオンラインイベントも…

この記事が気に入ったら、サポートをしてみませんか?
気軽にクリエイターの支援と、記事のオススメができます!
文藝春秋digital

記事へのご意見・ご感想をお待ちしています。「#みんなの文藝春秋」をつけてご自身のnoteにお書きください。編集部がマガジンにピックアップします。皆さんの投稿、お待ちしています!

ありがとうございます!
8
月刊誌『文藝春秋』の特集記事を中心に、一流の作家や知識人による記事・論考を毎日配信。執筆陣のオンラインイベントも毎月開催中。月額900円で記事読み放題&イベント見放題のサービスです。