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北村滋 3.11福島第一原発をめぐる日米協力 外事警察秘録 第8回

「情報」に振り回される日本政府。米国は明らかに苛立っていた/文・北村滋(前国家安全保障局長)

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福島第一原発3号機 ©時事通信社

 2011年3月11日午後2時46分。警察庁が入る中央合同庁舎二号館は、大きく撓(しな)るように揺れた。20階の外事情報部長室の壁や棚から、各国の治安・情報機関から贈られた数十枚のメモリアル・プレートが全て床に投げ出され、飛散した。私が体験した東日本大震災発震の瞬間である。21階のオペレーションルームに回り階段で駆け上がると、既に警察庁総合対策室が設置され、災害発生直後の喧騒が部屋を覆っていた。そして、56分後の午後3時42分、東京電力福島第一原子力発電所の1〜4号機で全交流電源喪失の一報が入る。現実のものとなる最悪の事態が対策室全体に暗い影を投げかけていた。

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