新型コロナウイルスに関係する内容の可能性がある記事です。
新型コロナウイルス感染症については、必ず1次情報として 厚生労働省 首相官邸 のウェブサイトなど公的機関で発表されている発生状況やQ&A、相談窓口の情報もご確認ください。※非常時のため、すべての関連記事に本注意書きを一時的に出しています。
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医師が教える「私もコロナに感染した……?」と思った時の7カ条

「公共交通機関を使わない」「コロナ日記をつける」「世話をする人は一人に」……専門家が指摘する、正しい対処の方法とは? 「もしかしたら?」と思った時は、決して無理をしてはいけません。/徳田安春(群星沖縄臨床研修センター・センター長) 構成・鳥集徹(ジャーナリスト)

自宅療養を余儀なくされるかも

新型コロナウイルス(以下、コロナ)の感染は、すでに予想以上に広がっている可能性があります。

有力な医学誌「BMJ(イギリス医師会雑誌)」の4月2日報告によると、その週、中国で行われた新型コロナウイルス検査で陽性と確認された166人のうち、実に5人に4人にあたる78%(130人)が、明確な症状を示さなかったそうです。

また、4月21日の慶應義塾大学病院の発表によると、無症状だった術前または入院前患者の67人中4人(約6%)に、PCR検査陽性の活動性感染者が確認されました。つまり、東京都民の約6%が、すでに感染している可能性があるのです。

この数字を当てはめると、人口約1400万人の東京都内には、確認されている陽性者数(4月23日現在3572人)の235倍以上にもなる、84万人もの感染者がいることになります。

今後、より精度の高い研究に基づく推計が出ると思いますが、いずれにせよ相当数の人がコロナと気づかず、無症状か軽い風邪症状程度で済んだ可能性があるのです。そういう人たちは動き回れますから、見えないところで感染が広がっている可能性も高い。いまや感染者数が多い流行地では、どこでうつっても不思議ではないと考えるべきなのです。

しかし、自分や家族にコロナを疑う症状が出たとしても、検査体制が充実していないためになかなか検査してもらえず、軽症だと医療機関で診てもらうことすら難しい状況となっています。現実にコロナを疑う症状が出ているのに、自宅での療養を余儀なくされている人がたくさんいると思われます。

そこで、もし「コロナかも」と思ったときに、私たちはどう行動すべきなのか、これまでの研究でわかってきたエビデンス(医学的根拠)に基づいて、アドバイスします。

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特徴的な6つの症状

今、発熱、せき、息苦しさ、だるさといった症状が出ると、みんな「コロナではないか」と心配になるのではないでしょうか。

しかし、風邪症状を引き起こすウイルスは約200種類あるとされており、その中には新型ではない従来のコロナウイルスも含まれています。また、毎年流行するインフルエンザや、マイコプラズマなど細菌性肺炎でも同様の症状が出ます。ですから、風邪の症状が出たからといって、医師の診断を受けずに「コロナだ」と自己判断してはいけません。

ただし、コロナに感染するとどのような症状が出るのか、その特徴が少しずつわかってきました。米国ニューヨークの病院でコロナ感染者393人を対象に行われた調査によると、多い順に次のような症状が出ていました。

せき(79.4%)
発熱(77.1%)
呼吸困難(56.5%)
筋肉痛(23.8%)
下痢(23.7%)

これらの5大症状のうち、当てはまる項目が多いほど、コロナである可能性が高いと推定できます。また、5大症状に加え、よく言われている嗅覚・味覚の異常も加えていいと思います。ですから、この6つの特徴的な症状を覚えておくといいでしょう。

そのうえで、コロナの可能性が高いと判断した場合には、①各都道府県のコロナ相談窓口か、かかりつけ医に電話をして、受診すべきかどうか相談してください。

ただし、ここで絶対にやってはいけないのが、事前連絡なしに無断で病院や医院を受診することです。なぜなら、コロナに感染していた場合、医療従事者や他の患者さんにうつしてしまい、院内感染を引き起こすかもしれないからです。

院内感染が起こってしまうと、その医療機関は一定期間の外来中止や全面閉鎖に追い込まれてしまいます。そうなると、ただでさえ限られているコロナ患者の受け入れ施設が減ってしまいます。

それだけでなく、病院や医院には重症化リスクの高い心血管疾患や呼吸器疾患、慢性腎疾患、糖尿病、高血圧などの患者さんも通院しています。そうした人たちにうつして危険な目に遭わせてしまうかもしれませんし、入院患者が増えることで医療の負担もより重くなります。

PCR検査は医師の診断後に

また、②保健所や医師からの指示があるまで、絶対に家から出ないようにしてください。言うまでもなく、接触した人に感染させる恐れがあるからです。これまでの研究から、コロナは症状が出る2日前から、出た当日の2日後くらいまでの5日間が、1番感染力が強いことがわかってきました。

報道されたように、テレビ朝日「報道ステーション」のメインキャスターを務める富川悠太アナウンサーがコロナに感染しました。富川さんは4月3日と4日に38度の発熱があったにもかかわらず、翌日平熱に戻ったので、6日から普段どおり出演していました。しかし、階段の昇りや早歩きで息苦しさを感じるようになったため、10日に都内の病院に入院。11日にPCR検査で陽性と判定されたそうです。

この間、富川さんは4日間も出勤を続けています。その結果、番組スタッフの間で感染が広がっただけでなく、スタッフの妻であるフリーアナウンサーの赤江珠緒さんまで感染してしまいました。

日本には「少し熱が出たくらいでは休めない」というカルチャーが根付いています。番組のメーンを張る富川アナも、プロデューサーに相談したものの、そのまま勤務を続けてしまいました。しかし、症状がまだ軽い人ほど感染を広げてしまう危険性があるのです。

コロナに限らずインフルエンザなどもそうですが、発熱などの症状があり、流行している病気に感染している可能性がある場合には、遠慮なく学校や勤務を休める文化をつくっていかなくてはならないと思います。とくに今は、コロナを疑う6つの症状のうち1つでもあれば、その瞬間に休むべきです。

もし保健所や医師の指示で受診することになった場合、まず注意してほしいのが、③医療機関までの移動手段としてバス、電車などの公共交通機関やタクシーを使わないということです。まわりの人や運転手さんにうつしてしまうかもしれないからです。ですから、人混みを避けながら徒歩、自転車、自家用車で行くか、そうした手段のない人は保健所や病院が差し向ける車に乗って、医療機関に行ってください。

次に大事なのが、④検査を受ける前に、必ず医師の診断を受けるということです。

現在、諸外国と比べたPCR検査件数の少なさが大問題となっています。これまで日本は、入院患者を増やしたくないためか、厚生労働省がPCR検査の手引きを作って、「発熱(37.5度以上)」「呼吸器症状」「曝露歴(流行地域での滞在歴や感染者と接触した履歴があること)」がある場合などに絞って、PCR検査を行ってきました。

また、厚労省はコロナの相談・受診の目安として、風邪の症状や37.5度以上の熱が4日以上続く場合(高齢者や基礎疾患のある人は2日程度)などとしてきました。通常の風邪は大抵3日ほどで治りますから、まだ感染が拡大していない段階では、コロナ以外の患者を除外するためにも、そのような基準を設けたのは妥当だったと思います。

しかし、前述のとおりコロナの感染力が最も強いのは発症前後の5日間です。この「4日以上」という目安に縛られると、1番感染しやすい時期にある患者を野放しにしてしまう恐れが出てきます。

しかも、検査対象を絞り込むための目安に過ぎないにもかかわらず、「コロナの診断基準」と勘違いしている医療従事者がいます。そのために、「3日以内の熱ならコロナではないですね」などと判断し、そのまま外来に通してしまう恐れもある。そういうことがあっては危険です。

そもそも、この「発熱4日以上ルール」は世界的に採用されていません。コロナの感染が拡大した現在、この基準に縛られていては、多くの感染者を見逃してしまう恐れがあります。ですから、6つの症状に当てはまり、コロナの疑いがある人は、医師の判断で積極的に検査をするべきなのです。

ただし、これは「希望者全員を検査すべき」ということを意味しません。なぜなら、検査の的中度を上げるには、医師が事前に診断することが、重要だからです。

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