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【連載】EXILEになれなくて #9|小林直己

第二幕 EXILEという夢の作り方

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三場 末っ子がリーダーに 

 三代目 J SOUL BROTHERSはいかにして生まれたのか。

 2009年、EXILE加入後に初めて臨んだアリーナツアー「THE MONSTER」。 スケジュールも、ようやく後半戦に差し掛かってきたある日、いつものリハーサル・スタジオでHIROが唐突にEXILEメンバーに告げた。「J Soul Brothersを復活させようと思うんだけど、どう思う?」。休憩中、流した汗を拭き、ドリンクを飲んでいた。たわいもない話が膨らんで、ついつい休憩時間が延びていた。いつもの和気藹々とした風景である。そんな 中で飛び出したHIROの言葉だった。「どうって……、うん、面白いんじゃないですかね」。そんな言葉がパラ、パラと溢れる。

 僕を含む、EXILEの新メンバー7人は、EXILEの前身のグループ、初代J Soul Brothersの名前を受け継ぎ、2007年から新生・J Soul Brothersとして活動していた。インディーズ活動を経て、2009年2月に、その活動の集大成となるメジャー・デビュー・アルバムをリリース。そして翌 3月に、EXILEの新メンバーとしてグループに加入した。

 僕自身、HIROの言葉の真意を読み切れずに探っていた。「やっぱりJ Soul Brothersの名前を、このまま終わらせるのではなく、何かの形がないのかと考えていて」。 新たにJ Soul Brothersの名前を引き継ぐグループが生まれる。これは、ものすごくワクワクする形だ。当時、LDHにはEXILE TRIBEは存在せず、グループもEXILEがメインで活動していた。そこに、新たな仲間が加わる。これまで以上の大きな流れを生み出し、すごいことになりそうだ。「いいですね」「なんか、可能性が広がる感じですね」と、他のメンバーからもポジティブな言葉が続く。EXILEは「同じ釡の飯を食う」ことで、言葉や温度感を共有し、こういった新たなことを受け入れやすい土壌を作っている。EXILEというグループの良さの一つだ。

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