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シミュレーション 令和X年 戦争への道【尖閣有事】中国のドローン兵器日本に襲来

文・潮匡人(評論家)

 中国共産党中央は、建国70周年となった2019年(令和元年)10月1日の国慶節を同年の最重要行事と位置付けた。天安門広場で習近平国家主席が「中国人民と中華民族の前進の歩みを阻むものはない」と演説。10年に1度の軍事パレードを過去最大規模で開催した。

 中国は軍の近代化を推し進めてきた。公表国防費は1989年度からほぼ毎年2桁の伸び率を記録。89年度からの30年間で約48倍、2009年度からの10年間でも約2.5倍である(名目上の規模)。かくして19年度の国防予算は約1兆1,899億元(約20兆2,279億円)。日本の防衛関係費の4倍近くに膨れ上がっていた。

 軍事パレードでは最新鋭の近代兵器が次々初登場した。米軍が注目したのがアメリカ全土を射程に収める大陸間弾道ミサイル(ICBM)「DF(東風)41」である。10個の核弾頭を、ニューヨークやワシントンDCなど、それぞれ異なる10カ所の目標に誘導できる多弾頭型であり、米軍でも迎撃は難しい。中国にとって対米核抑止力の強い柱をなす。

 パレードには、超音速で取り入れた空気を燃焼に活用してマッハ5を超える極超音速(時速約6,200㎞以上)で飛翔できる巡航ミサイル「DF100」も初登場した。大気圏突入後に同じく極超音速で滑空飛翔(機動)する極超音速滑空兵器(HGV)を搭載可能な弾道ミサイル「DF17」も初登場した。

 これらの極超音速兵器は従来の弾道ミサイルより低い軌道を飛翔し、高い機動性を有するため、探知や迎撃がきわめて難しい。いずれも、戦いにおける優劣を根底から覆す「ゲーム・チェンジャー」となった。

 当時それらを日本人は他人事のように眺め、同日増税された消費税論議に明け暮れたが、中国は粛々と実戦配備していった。

「スウォーム」戦術の向上

 さらに中国は、攻撃を任務とする無人機部隊を空軍に創設。多種多様な無人機(UAV・ドローン)の開発を進めた。注目されたのが、人工知能(AI)を搭載した高度な自律飛行が可能な戦闘型長距離ステルス無人機「彩虹(CH)7」である。19年の軍事パレードには、これらの無人機に加えて、無人潜水艇「HSU1」も初登場した。

 近年、中国は低コストの無人機を多数運用する「スウォーム」(群れ)戦術を向上させてきた。2017年には、中国電子科技集団有限公司が、AIを搭載した119機からなる固定翼無人機のスウォーム飛行に、翌年には200機からなるスウォーム飛行に成功。相互に一定の距離を保ちながら多数の無人機を飛行させる高度な技術力を内外に見せつけていた。平成の日本人はまさか、それらが令和の日本を襲うとは夢にも考えていなかった。

 令和元年には中国海軍が、強襲揚陸艦「75型」の進水式を上海で実施した。強襲揚陸艦は小型空母とも評され、島嶼や沿岸の作戦に用いられる。通常は数十機の戦闘機や数百人規模の上陸部隊を搭載するが、中国はアメリカ軍のF-35Bのような短距離離陸・垂直着陸が可能なSTOVL戦闘機を、まだ実戦配備できていなかった。だが、それで諦めるような中国ではなかった……。

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