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桂文枝 新婚さんさようなら!

文藝春秋digital
「愛してるー!」と叫んで入れ歯が飛んだ夫、ひげを生やした奥さま。夫婦は落語より面白い。/文・桂文枝(落語家)

【通常使用】桂文枝(着物・UP)15.01~

桂さん

番組をメジャーにした思い出のアシスタント

3月27日の放送を最後に、「新婚さんいらっしゃい!」(以下、「新婚さん」)を勇退することにしました。番組の司会を51年と2カ月も続けられて、今は正直ホッとしています。なんでもそうですけれども、始まりがあれば終わりがあります。番組を卒業するからといって特別な気持ちはありません。いよいよ卒業するんだなあというのが本音です。

それ以上に自分としては、半世紀にもわたって元気にやり遂げられたのが1番うれしいですね。私はこれまでたくさんの番組に関わって、たくさんの始まりと終わりがあったわけですが、この番組がまさかここまで続くとは思いもよりませんでした。そういう意味では本当に長く続けていただいた放送局のかたや関係者のかた、そして何よりも、視聴していただいたみなさまに大変感謝しています。

女性パートナーのかたにもたくさん助けていただきました。1971年1月に放送が始まって以来、7名のかたとご一緒しました。なかでも2人目の梓みちよさんには、僕の卒業を報告したかったです。この番組が全国でメジャーになったのは、みちよさんのおかげです。みちよさんの知名度で番組は大きくなりました。いろいろお話もしたかったですけれど、2020年にお亡くなりになりました。ご報告をできないのが心残りでなりません。

先日ね。岐阜で立川志の輔師匠と落語の2人会をやって、その最後に「私も番組を卒業しますけれども、志の輔師匠も『ガッテン!』をご卒業ということで、ご苦労さまでした」とお伝えしました。ご本人もそれをお客さまにいつ言おうかと思っておられたらしいですが、私がそう言ったことで「ありがとうございました。みなさんに報告できてよかった」とおっしゃっていました。でも、志の輔師匠の場合はゴールデンタイムの番組でしたから僕としては、もっと続けていただきたいなあと一方的な想いもありました。

私自身は自分の年齢のこともあって勇退を決めましたが、元気に卒業できることで心からホッとしております。大勢のかたから「もう見られなくなるのが寂しい」とおっしゃっていただきますが、そう言っていただいている間に卒業するのが花道にもなるかなと思ったんです。

この番組をやらないかと声をかけていただいた澤田隆治プロデューサー(享年88)が昨年お亡くなりになったことも大きかったと思います。番組の企画立案者のひとりでもあった澤田さんはよく見てくださって、「頑張ってるな」と声をかけていただきました。そういうこともあってそろそろ潮時かなと。

また、私は「新婚さん」が始まった翌年に結婚しました。その流れで結婚生活の話は自然に聞けたんですが、昨年家内と母とを続けて亡くしました。1人になって新婚ご夫婦のお話を聞くのはどうかなという複雑な思いもありまして。

結婚のスタイルが変わったこともあります。最近はマッチングアプリを使って出会うかたが多いようです。私はパソコンやスマホのアプリをあまり使わないから実感がわきませんし、「新婚さん」というトーク番組で話に追いつけません。ちょうど51年を迎える春に卒業させていただくのが1番いいんじゃないかなと思うに至りました。

もともと落語家としてこの世界へ入りました。番組を卒業することでようやく軸足を落語へ置けます。それがうれしい。実際終わってしまったらどうしたらええのやろうと非常に寂しくなるかも分かりませんが、今は胸躍らせております。

宣材写真②

パートナーの山瀬まみと

卒業にあたってのお願い

卒業するにあたって、番組スタッフに「いらっしゃ~い」というギャグを引き続き使っていただけたらとお願いしました。

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