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橘玲「陰謀論と非合理」 今月買った本

陰謀論と非合理

陰謀論やフェイクニュースが蔓延し、理性を前提とした制度が揺らいでいる。だが『人はどこまで合理的か』でスティーブン・ピンカーは、人間は愚かだが、その一方で賢くもあり、だからこそ驚異的な文明をつくりあげたのだと説く。人類がこれからも進歩し続けるには、合理性が人生や社会の役に立つことを啓蒙していかなくてはならない。

シリコンバレーの起業家・投資家でもあるネットワーク研究者が、大量の研究をもとに、SNSが疑似現実をつくりあげ、フェイクニュースを拡散していく仕組みを論じたのが『デマの影響力』。この巨大な力を制御するのは不可能ではないものの、そのためにはSNSを根本的につくり直さなければならない。

人類は何百万年ものあいだ、150人ほどの共同体のなかで、自分の地位を上げようとする複雑なゲームを行なってきた。『ステータス・ゲームの心理学』は、SNSがこのゲームをグローバル規模に拡張したことで、わたしたちはステータスをめぐる過酷な競争に翻弄されることになったという。この「地獄」から抜け出すには、SNSを利用しつつ距離を置くリテラシーが必要らしい。

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