見出し画像

クレイグ・ウィットロック著 河野純治訳「アフガニスタン・ペーパーズ」夥しい量の肉声の記録 評者・池上彰

夥しい量の肉声の記録

アメリカは、どうしてこうも失敗を繰り返すのか。失敗の経験をきちんと記録しているのにも関わらず。

アメリカは2001年9月の同時多発テロを引き起こしたオサマ・ビンラディン(本書ではウサーマ・ビン・ラーディン)を捕縛するため、アフガニスタンに軍事侵攻します。ビンラディンがタリバン(本書ではターリバーン)政権によって保護されていたからです。

圧倒的な軍事力によって、タリバン政権はあっけなく崩壊します。しかし、米軍はビンラディンを発見できません。ビンラディンを捕まえることができなければ、アフガニスタンから撤退できません。いつの間にかタリバンが主敵となり、ズルズルと泥沼の戦闘に巻き込まれていきます。結局、米軍がアフガニスタンから撤退できたのは、20年後の2021年8月でした。米軍統治に協力したアフガニスタン人スタッフを見捨てて、米軍は撤退しました。無様なものでした。

続きをみるには

残り 701字
noteで展開する「文藝春秋digital」は2023年5月末に終了します。同じ記事は、新サービス「文藝春秋 電子版」でお読みいただけます。新規登録なら「月あたり450円」から。詳しくはこちら→ https://bunshun.jp/bungeishunju

文藝春秋digital

¥900 / 月

月刊誌『文藝春秋』の特集記事を中心に配信。月額900円。(「文藝春秋digital」は2023年5月末に終了します。今後は、新規登録なら「…

「文藝春秋digital」は2023年5月末に終了しました。今後は「文藝春秋 電子版」https://bunshun.jp/bungeishunju をご利用ください