
武田徹の新書時評 近くて遠い国、韓国
評論家・専修大学教授の武田徹さんが、オススメの新書3冊を紹介します。
近くて遠い国、韓国
韓国からの留学生が減っている——、大学で教えているとそれが実感できる。日本で学び、日本を学ぶ、いずれの関心も彼らは失ってしまったのか。
一方で日本の側は韓国に興味津々だ。その証拠に1月には韓国関係の新書が、なんと4冊も刊行されている。この温度差は何なのか。同時刊行の新書の中から考える手がかりを探してみよう。
菅野朋子『韓国エンタメはなぜ世界で成功したのか』(文春新書)は、まさに今の日本の韓国への関心の高まりに応える1冊だ。カンヌ国際映画祭で『パラサイト』がパルムドールに輝き、BTSが米国ビルボードのHOT100で頂点に立った。なぜそこまで「韓流」は力を備えたのか。菅野は経済危機から立ち直る際に産業構造を一変させ、ITに力を入れた90年代に遡ってその勝因を検討する。
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