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大坂、渋野、八村…… ゴールデンエイジの限界突破が始まる!

文・生島淳(スポーツジャーナリスト)

 2019年の日本のスポーツ界の事象をひと言で言い表すとしたら、「限界突破」という言葉が思い浮かぶ。

 9月から11月にかけて行われたラグビー・ワールドカップ(W杯)では、日本はプールステージでアイルランド、スコットランドを破り、堂々と準々決勝へと進出。4年前、W杯の舞台で南アフリカを破って限界点を押し上げてはいたが、もはや強豪国を倒すことは奇跡ではなくなった。

 さらに女性アスリートの進出はめざましく、大坂なおみは1月の全豪オープンで優勝し、2018年の全米に続き、4大大会を連覇。

「グランドスラム」つながりでいえば、ゴルフの全英女子オープンでは、渋野日向子が海外メジャーでの大会に初出場し、いきなり優勝してしまう。

 そして男子では、プロバスケットボールのNBAで八村塁が日本人として初めてドラフト1巡目で指名され、ワシントン・ウィザーズに入団、開幕戦から先発として出場した。

 この3人に共通して言えることは、上の世代がなかなか成し得なかったことを軽々と達成してしまったことにある。

 女子テニスでは1990年代に伊達公子が全豪、全仏、ウィンブルドンでベスト4に進出して歴史を変えたが、優勝にまでは手が届かなかったし、彼女に続く選手も登場しなかった。

 2017年ころから大坂が表舞台に登場するようになり、パワー、体力ともに図抜けていたことから、混戦の女子テニス界にあってはグランドスラムを勝つことは容易に想像できた。しかし、日本のテニス関係者は「まだまだ。彼女にはやらなければいけないことがたくさんある」という見方が支配的で、優勝までには時間がかかると想像していた。しかし、当時20歳の大坂は、あっさりと全米で女王の座に就いた。

 女子プロゴルフでは、1977年に樋口久子が全米女子プロで優勝したのを最後に日本人女性のメジャーでの優勝はなかった。全米賞金女王の岡本綾子、宮里藍、横峯さくら、宮里美香、上田桃子といった才能豊かな選手が挑戦してきたが、いずれもグランドスラムには手が届かなかった。ゴルフの関係者は、「岡本さん、ふたりの宮里でさえ手が届かなかったのだから、国内の実績もなく、海外での経験も少ない選手が勝てるわけがない」という思い込みに支配されていた。ところが、笑顔が映える20歳の渋野は、軽やかに限界を突破してしまった。

 八村は、高校まで日本のバスケットの強化システムの中で育ったが、英語が苦手だったにもかかわらず、進学にあたってアメリカのゴンザガ大学を選んだ。NBAでプレーするという目標達成には、それが近道であると判断したのである。その決断は功を奏し、大学1年では戦力とは言い難かったが、2年から3年にかけて着実に成長、全米トップ選手のひとりに数えられるようになった。

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