見出し画像

【箱根対談】駒大監督・大八木弘明×松任谷正隆「駅伝って人生だ!」

「大八木さんがリタイアしたら、箱根はつまらなくなる」。駒澤大学陸上競技部監督の大八木弘明さんと、駒沢大学の大ファンだという音楽プロデューサーの松任谷正隆さんが語り合う「箱根の魅力」とは。

<summary>
▶︎松任谷さんは、39歳の時にジョギングを始め、自宅近くの砧公園で駒大選手が練習しているのを見て、密かに応援するようになった
▶︎昔の子は何くそ精神があったが、今はほとんどいない。叱ったら、立ち直らせるまでのフォローが必要
▶︎大八木監督が大切にしているのは、挨拶と規則を守ること

画像1

大八木監督(左)と松任谷氏(右)

「駒澤大学の走りはカモシカのように美しい」

松任谷 この度は箱根駅伝優勝おめでとうございます。

大八木 ありがとうございます。

松任谷 箱根の翌日に道で選手とすれ違ったので「おめでとう」と声をかけたら、やたらうれしそうでした。走った選手ではなかったけど、やっぱりみんなで走っているようなものですから、うれしいですよね。

大八木 13年ぶりですから長かったですね。2位、3位にはなれても、正直、「もう、勝てないかな」って思うときもやっぱりありましたね。

松任谷さんと最初にお会いしたのは、まさに前回優勝した時でしたね。

松任谷 優勝した時に大八木さんを知る知人に「ラジオに呼んだら来てくれるかな?」という話をして、出演していただいたのが今のご縁につながりました。あれはすごくうれしかったですね。

大八木 声をかけられたこちらも「えー!? 嘘だろー!?」と思いましたから。妻は松任谷由実さんの大ファンですし、俺みてぇなのを呼んでいただいてと、もう舞い上がってしまって。あの時のこと何も覚えていないんですよ(笑)。

松任谷 実は僕もうれしくて覚えていません(笑)。

僕は今から30年前、39歳の時にジョギングを始めて。自宅近くの砧公園に行くと、駒澤大学の選手たちも練習をしているのですが、彼らの走りはカモシカのように美しくて、すれ違うとすごい風が巻き起こるんですよ。「すっごいなぁ」と。それから密かに駒澤を応援するようになったんです。

大八木 砧公園のクロカンコースはいいコースです。うちではずっと使っていますし、最近は他大学や実業団も来ています。

松任谷 もともと、僕は昔から「1年で一番好きな番組」と言うぐらい箱根駅伝が好き。でも、選手たちに声をかけちゃいけないようなムードがなんかあって、ずっと遠くから眺めていたんです。それがある時、僕の顔を知っている選手がいて、挨拶をしてくれて! もう、そこからはますます駒澤ファンですよ。ラジオに出ていただいたのをきっかけに、選手たちに挨拶をしてもらえることも増えて、先生とも立ち話をするようになって、キャプテンやマネージャーが代わる季節には、毎年、引継ぎの挨拶をしに来てくれるようになった。僕の影響でかみさんも駒澤ファンになったし、僕の家族で青学ファンなんて許しませんよ(笑)。

画像2

2021年、駒澤大学は13年ぶりに箱根駅伝総合優勝

シュークリーム100個

大八木 箱根駅伝前の12月になると、毎年差し入れを持ってきてくださって感謝しています。

松任谷 僕は本当にモノを知らなくて。奥様がすべて食事のコントロールをされているというのに、最初の頃はカレーパンなんて持って行っちゃって。途中からシュークリームに変えました。

大八木 今うちには選手が50人ほどいるのですが、シュークリームも、生クリームとカスタードの2種類、合計100個もご用意くださって。子供たちは松任谷さんの差し入れをとても楽しみにしていますよ。

ここから先は

5,956字 / 7画像
noteで展開する「文藝春秋digital」は2023年5月末に終了します。同じ記事は、新サービス「文藝春秋 電子版」でお読みいただけます。新規登録なら「月あたり450円」から。詳しくはこちら→ https://bunshun.jp/bungeishunju

文藝春秋digital

¥900 / 月

月刊誌『文藝春秋』の特集記事を中心に配信。月額900円。(「文藝春秋digital」は2023年5月末に終了します。今後は、新規登録なら「…

「文藝春秋digital」は2023年5月末に終了しました。今後は「文藝春秋 電子版」https://bunshun.jp/bungeishunju をご利用ください