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【次原悦子】わたしのコロナ感染記|私がツイッターで感染を公表した理由

文・次原悦子(サニーサイドアップ代表取締役社長)

「濃厚接触は確認されない」とCOCOAは表示

私の場合、昨年12月30日に味覚嗅覚がないことに気づきました。平熱でしたが、最速で予約の取れた民間の検査業者にPCR検査を申し込み、対応いただけたのが1月2日でした。そして検査キットの受け渡しが、なんと渋谷駅のハチ公前。コロナに感染しているかもしれないのに、人の多い場所に行っていいのかと心配になりました。赤い帽子をかぶったスタッフのかたからキットを受け取り、その場で自分の唾液を入れて渡しました。当日午後には陽性と判明。人と接触する機会も多い業種なので、抗原検査キットを購入して私も何度か検査を受けていましたが、この受け渡しがあまりに衝撃的でした。驚く実情をお知らせしたくてTwitterに情報を発信しました。

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渋谷のハチ公前で検査キットを受け取った

周囲からは上場企業の社長が感染したことをわざわざ公表しなくていいのではといわれました。私は幸いにも年末に発症し、感染させる可能性がある時期には、仕事関係のかたとの接触は一切なかったのですが、私と関わったかたからは、自分は濃厚接触者になるのかと問い合わせが多く寄せられました。会社のスタッフも「あなたもコロナなんじゃない?」という言葉をかけられたり、打ち合わせがキャンセルになったこともあったようです。ただ、感染がわかったあとに一体何が起きて、日常がどう変わるのか。ネットで検索しても過程の情報が得られなかったのでTwitterで発信し続けました。

ひとつはCOCOA(新型コロナウイルス接触確認アプリ)の実態です。まず自分がどこで感染したかを知りたくてアプリを確認すると、過去14日間「陽性者との接触は確認されません」と表示されました。同居する家族のスマホも同じでした。陽性が判明するとCOCOAへ自動的に登録されると思っていたのですが、実は陽性者自身がアプリに登録しなければいけません。登録には保健所へ連絡して番号をもらい、本人がその番号を登録します。時間と手間がかかるので登録しない人は多い気がします。一般的にコロナは発症2日前から発症後7~10日間ほど感染させる可能性があるとされています。誰かに感染させていたらと不安に押しつぶされそうでしたが、幸い年末年始は家族以外とは会っておらず、少しだけ気持ちが楽になりました。でも私の陽性登録後も家人のCOCOAには「濃厚接触は確認されない」と表示されました。突貫で作られたアプリなので完全でないのかもしれません。ただアプリだけを頼りにしてはいけないと痛感しました。

コロナ感染_次原さん

感染しても「陽性者との接触がない」と表示されるアプリ

ペッパーくんと無言の感染者

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