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「お笑い第7世代」が巻き起こす世代交代の波

文・ラリー遠田(作家・お笑い評論家)

 お笑いの世界では「お笑い第7世代」という言葉をちらほら耳にするようになってきた。明確な定義があるわけではないが、だいたい平成生まれで20代前後の若い芸人の総称である。2018年に『M-1グランプリ』で優勝した霜降り明星のせいやが自分たちの世代のことをそのように名付けたのをきっかけに、この言葉がじわじわと浸透してきた。今ではテレビや雑誌でも「お笑い第7世代」の特集が組まれたりしている。

 いきなり「お笑い第7世代」という言葉を聞かされても、それ以前の世代のことを知らないほとんどの人にはピンとこないかもしれない。そのルーツは80年代後半に生まれた「お笑い第3世代」という言葉にさかのぼる。

 ウッチャンナンチャンやダウンタウンが世に出てきた頃、彼らのような若い世代の芸人をすでに活躍している上の世代の芸人と区別するためにそのような言葉が作られたのだ。

 ザ・ドリフターズやコント55号を「第1世代」、タモリやビートたけしや明石家さんまを「第2世代」と位置づけて、それよりも若い層のことを総称して「お笑い第3世代」と呼び始めた。

 その後、「お笑い第4世代」「お笑い第5世代」などという言葉を使う人も一部にはいたが、「お笑い第3世代」以外はそれほど一般的ではない。

「お笑い第7世代」という言葉を発明したせいや本人は軽い気持ちで口にしただけなのだが、最近出てきた若手芸人の総称として使い勝手がいいので、本人の意図を超えて拡散していった。

 ここ数年のお笑い界では、テレビに出てくる芸人が年々高齢化しているということが言われてきた。一昔前に『爆笑オンエアバトル』『M-1グランプリ』『エンタの神様』などをきっかけに世に出てきた当時の若手芸人たちは、ほとんどが40代以上になっているが、今もテレビの最前線で活躍している。

 2012年に『キングオブコント』で優勝したバイきんぐ、2014年に『THE MANZAI』で優勝した博多華丸・大吉なども、優勝の時点でかなりの芸歴を重ねていた。

 だが、2018年に入ったあたりから、若い世代の活躍が急に目立ってきた。霜降り明星以外にも『R-1ぐらんぷり』優勝の濱田祐太郎、『キングオブコント』優勝のハナコなど、20代中心の若い芸人がコンテストで続々と頭角を現し始めたのだ。また、バラエティ番組でも、宮下草薙、四千頭身、EXITなど若い世代が台頭してきた。

「お笑い第7世代」と呼ばれている芸人にはそれぞれ個性があり、一口で言える特徴があるわけではない。ただ、大まかな共通点を挙げることはできる。

 最大の特徴は、物心ついた頃からインターネットが身近にあったデジタルネイティブ世代であり、お笑い以外の文化にも幅広い関心を持っているということだ。

 具体的に言うと、上の世代の芸人と比べて地上波テレビを絶対視するような意識が薄く、ユーチューバーにも偏見を持っていない人が多い。

 娯楽が少ない時代には、テレビは流行の発信源として若者に不可欠なものだった。だが、今はそうではない。「芸人はテレビを目指すのが当たり前」という常識は彼らには通用しない。実際に芸人の活躍の場はどんどん広がっていて、もはやテレビだけが絶対的な存在ではない。

 実際、ユーチューブで積極的に動画を公開していたり、ユーチューバーを自分たちと同列のエンターテイナーと考えているような人が多い。

 例えば、霜降り明星は「同世代の芸人だけではなく、ミュージシャンやユーチューバーとも一緒に何か仕掛けていきたい」とよく話している。お笑いというジャンルに囚われず、自分たちの世代全体で世の中を盛り上げようとしている。

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