見出し画像

短歌|大久保春乃

定命

鎧戸ははたりと落ちき玉の緒のふいにしぼめるそのゆふつかた

上げ下げ窓を音なくせば玻璃に浮くたれもかれものいとしき面輪

もとほるは猫のたまとも桃畑のいまだかそけき桃のたまとも

経筒のごとき姿の花の笠暮れ初む路にすつくりと立つ

白猫の寄り来てはやはらかく去るこなたに白き闇を残して

はじまりはひとつ鎖目 かぎ針の先よりふつとこの世に生れき

定命ぢやうみやうの櫛目を通す青き泡のしぼみてゆける夕べの浜に

続きをみるには

残り 0字
noteで展開する「文藝春秋digital」は2023年5月末に終了します。同じ記事は、新サービス「文藝春秋 電子版」でお読みいただけます。新規登録なら「月あたり450円」から。詳しくはこちら→ https://bunshun.jp/bungeishunju

文藝春秋digital

¥900 / 月

月刊誌『文藝春秋』の特集記事を中心に配信。月額900円。(「文藝春秋digital」は2023年5月末に終了します。今後は、新規登録なら「…

「文藝春秋digital」は2023年5月末に終了しました。今後は「文藝春秋 電子版」https://bunshun.jp/bungeishunju をご利用ください