【22-政治】【新・立憲民主党は責任政党になれるか】「反日」のレッテルすら貼られるリベラルが支持を取り戻すには|大賀祐樹
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【22-政治】【新・立憲民主党は責任政党になれるか】「反日」のレッテルすら貼られるリベラルが支持を取り戻すには|大賀祐樹

文・大賀祐樹(早稲田大学非常勤講師)

「リベラル」の意味合いは文脈で異なる

「リベラル」という言葉が、いつの間にか、日本でも頻繁に用いられるようになった。しかし、リベラルという概念は非常に曖昧で、誰が、どの時代に、どのような文脈で用いているのかによって、意味合いが全く異なってしまうほどだ。

そもそも、日本にリベラルは存在するのかという問題もある。社会主義、共産主義ほど「左」ではない、やや左寄りの勢力がリベラルとイメージされており、政党で言えば、2020年9月、合流新党として再出発した立憲民主党をリベラルと位置づけるのが一般的だ。だが、アメリカの民主党のような経験と理念に基づいておらず、やはり漠然と、保守に反発する人々の寄り合い所帯という印象が拭えない。実際のところ、少し前まで「革新」「進歩派」という語が指示していた対象が、いつの間にかリベラルという呼び名で呼ばれるようになっただけで、大きな違いはないのではないだろうか。

それどころか、「戦後レジームからの脱却」や「アベノミクス」といった改革のキャッチフレーズを掲げてきた安倍政権、自民党に対し、何かと難癖をつけて、時には感情的に批判する立憲民主党、共産党は、見方によっては、古い価値観から改革に抵抗する保守的な勢力に見えてしまう。加えて、政権を批判する「サヨク」は「反日」だとするイメージが、一部の極端な意見を持つ人々に限らず、かなり広い範囲で持たれるようになっている。「改革に抵抗して政策とは無関係な批判ばかりする反日的な勢力」というのが、無党派層を含めた多くの人に持たれている「左派=リベラル」に対するイメージなのではないだろうか。

リベラルが「保守」となる謎

リベラルとは、リベラリズムを支持する人々のことだ。リベラリズムとは、それまで抑圧されてきた人々を解放して自由を拡大する思想である。古典的なリベラリズムは個人の自由を尊重し、市場メカニズムを重視した。

しかし、市場を自由放任にしたままでは、大企業による独占や労働者の抑圧、格差の問題が生じる。そこで、弱い立場にある労働者や、貧しい人々の自由を拡大するため、市場への介入や再分配を行う大きな政府による福祉国家型の「ニュー・リベラリズム」が、20世紀のリベラリズムのスタンダードとなった。これが、現代において多くの論者が「リベラル」として規定してきた立場である。だが、大きな政府は市場の自由や個人の財産権を制限する。それに反発して、政府機能を縮小し、自由を最大限に尊重するリベラリズム本来の在り方を取り戻そうとしたのが「ネオ・リベラリズム」である。

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