三人の卓子

三人の卓子<読者と筆者と編集者>【全文公開】

読者と筆者と編集者の「三人」が自由闊達に語り合う投稿コーナー。

2つの問題

 9月号には、決して看過できない内容の記事が2つあった。

 1つ目は、元東京電力・原子炉設計管理担当の木村俊雄氏による『福島第1原発は津波の前に壊れた』だ。

 木村氏が東電に福島第1原発に関するデータを開示させ、それを解析した結果、津波が来るよりも前からすでに、地震動によって福島第1原発はすでに危機的状況に陥っていたということが分かったのだ。その事実も驚くべきことだが、何よりもまず、東電の隠蔽体質について明らかにしたことは大きいだろう。原発事故の調査ももちろんだが、東電には自社の企業体質について改めて考えてほしい。

 2つ目は、秋山千佳氏による『スクールセクハラ「犠牲者」たちの告発』である。学校の教師からのセクハラによって、自身の尊厳を踏みにじられた経験を持つ方たちが、勇気をもって取材に応じていた。記事を読んで思ったのは、「指導」と「支配」を履き違えている教師たちがあまりにも多いのではないかということだ。今後、教師たちの倫理観をどのように育てていくか、大きな問題であると感じた。

 これらの2つの問題は、記事にしたからといって終わりではなく、これからも社会に影響を与えていくものである。文藝春秋には単発記事で終わることなく、継続して取材・分析をお願いしたい。(京都府 小野勝彦 61歳 大学教員)


城連載に期待

 城が大好きな私にとって、大注目のグラビア連載が始まりました。それが、9月号から始まった「一城一食」です。真っ先に拝読いたしました。

 島根は以前、世界的にも有名な「出雲大社」を訪ねたことはあるものの、松江のシンボルとも言うべき「松江城」は、この連載で初めて目にした次第です。

 1ページ目は、どっしりとした印象の松江城の写真から始まり、黒塗りの重厚な外観は存在感たっぷりです。桃山初期の城郭の特徴を残し、かつ、とことん実戦向きの構造は、見事の一言に尽きます。

 一方、グルメとして紹介されていた「出雲そば」は、私も島根を訪れた際にお土産として購入しました。香り高く、非常に美味しくいただいた記憶があります。

「城下を歩きその地の食を味わうのも、城めぐりの楽しみだ」

 本文中にこのような言葉がありましたが、まさに、その地の歴史、文化をまるごと楽しむことが出来るのが城めぐりの良さです。

 私も今度の休暇を利用して、どこかに城めぐりに出掛けたい、そう思わせてくれるグラビアでした。実現したら、城だけを見物するのではなく、周辺にある歴史館、公園、武家屋敷などもぐるっと回ってみたいです。

 なお、斎藤道三や織田信長のかつての居城「岐阜城」も、標高329メートルにそびえ立つ要塞で、天守閣から一望できる景色は素晴らしいです。いつか、このページで紹介していただければと思います。(岐阜県 蜂矢富美之 32歳 大学講師)


結婚おめでとう

 日本列島が小泉進次郎衆議院議員と滝川クリステルさんの結婚会見で沸くなか、その小泉氏と菅義偉官房長官との対談『令和の日本政治を語ろう』を興味深く読んだ。

 小泉氏が語った「憲法改正」についての考えには、大きく共感を覚えた次第だ。憲法改正を進める上で、大事にしなければならないことが2つあるという。

 1つ目は、社会を分断しないということでした。例えば、国民投票の時に改憲派と護憲派が街宣車に乗って互いが互いを攻撃するような光景を生んではいけないという。

 2つ目は、野党も含めて「どんな案だったら賛成できますか」と虚心坦懐に問うてみるということだった。そして、最終的に憲法改正が神聖化され過ぎない環境を作るべきだとされている。

 どちらも非常に納得する意見だった。反対派といがみあっていてばかりでは、議論は平行線を辿るばかりで、政治はこう着状態に陥る。そこで柔軟な考えを提示するのが、小泉氏らしいと思った。

 小泉氏は、結婚で人生の新たなステージに踏み出した。同時に、政治家としても一回り成長し、日本の政治に大いに貢献して欲しいと切に願う。(滋賀県 清水宗彦 62歳 無職)


自宅から見た米軍機

 9月号に掲載された、伊東四朗さんと半藤一利さんの対談『僕らが焼け跡で思ったこと』を興味深く読みました。

 私は昭和6年生まれで、お二人とは違ってど田舎の出身ですが、それなりの戦争体験をしました。

 私の地元である山口県・岩国には海軍航空隊の基地や軍需工場があり、何回か空襲を受けました。終戦前日の8月14日に岩国駅が空襲でひどくやられたのは非常に悔しかった。終戦後しばらく経っても、駅の近くに爆弾で出来た大きなクレーターがあり、死体が浮いていた光景は今でも忘れられません。

 そういえば戦時中のある日、我が家のバルコニーから米軍機・グラマンが飛んでいるのが見えました。しかも、それに乗っているパイロットの顔まではっきり見えたのです。目があったらやられる、と慌てて家の中に入りました。

 ある時、銭湯で大人2人が「日本はもうダメだな」と話しているのを聞いて、何言ってやがると憤慨するような軍国少年でした。

 ……そういった記憶が、お二人の対談を読んでいるうちに次々とよみがえってきました。共感を覚えることもしきりでした。

 ただ、日本がいかに無理矢理戦争を続けていたのかということについて、もう1つ取り上げてほしかったことがあります。それは兵器をつくるための家庭用品の供出です。鍋や釜など、家にある鉄や銅製品を供出させられました。我が家の2階にあった手すりは、真っ先にとられていきました。

 そのように、人や物がどんどんなくなっていった悲しい戦争があったことを、お二人の対談を読んで思い出しました。(山口県 田中厚次 88歳 無職)


芥川賞からの卒業

 9月号に掲載された、作家・髙樹のぶ子さんによる『吉行淳之介さんの言葉が支えだった』を何度も何度も読み返しました。

 髙樹さんは、今回の芥川賞選考会を最後に、選考委員を卒業されるということでした。何よりも、選考委員を18年にもわたって続けてこられていたのだという事実が驚きでした。

 私は年に2回の芥川賞受賞作が掲載される特別号を楽しみにしています。インタビュー記事では、その芥川賞選考会の歴史に触れることが出来て、非常に興味深かったです。特に、石原慎太郎さんとの喧嘩についてのお話が面白かったです。

「私も石原さんも、お互いに主張が強いタイプなので、2人で衝突することが多かった。『この野郎!』と怒鳴られもしましたね。私は相手が大先輩であろうが東京都知事であろうが、選考委員の間にはなんの優劣もないと思っていた。ですから全く遠慮することなく意見をぶつけていました」

 この言葉には、選考委員としての覚悟が表れていて、心を揺さぶられました。

 芥川賞は世の中への影響力が大きい賞なだけに、選考のプレッシャーも相当大きかったことだろうと拝察します。お疲れさまでした。

 今後の髙樹さんのさらなるご活躍を期待しています。(岐阜県 三輪まり 52歳 主婦)

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