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【8-芸能】大物芸能人たちがユーチューブに進出 芸能界混沌の時代|中村竜太郎

文・中村竜太郎(ジャーナリスト)

「もはやテレビからヒットが生まれる時代ではない」

2020年は「大物芸能人ユーチューブ開設元年」、これまでテレビを中心に活躍してきた石橋貴明や手越祐也、宮迫博之ら大物芸能人がユーチューバー・デビューし成功を収めている。一方で、フワちゃんやHIKAKINなどの人気ユーチューバーにはテレビ番組のオファーが殺到、バラエティを中心に活躍の場を広げ認知度は飛躍的に上昇している。ユーチューブ誕生から15年、当初は棲み分けがあって交わることがなかった両者がここにきて活発にクロスオーバー。芸能界に大きな地殻変動が起きている。

「ユーチューブ黎明期は、誰でも気軽に自分の遊びや趣味を発信できるものでした。素人が生み出すコンテンツが主体で、HIKAKINやはじめしゃちょーらネットのスターに800万人以上のフォロワーがいようとも『子供だまし』と見下されていたのは事実。娯楽の王座として君臨してきたテレビのクオリティーには及ばないですし、プロと素人は相容れないというのが芸能人の本音でした」(民放プロデューサー)

闇営業問題でテレビから干された宮迫がユーチューブを始めた際に、明石家さんまがバラエティ番組で「俺らテレビ出る人間、敵はユーチューブやねんで、いま!」と、画面を通じて後輩芸人に危機感を持つよう呼びかけをした。その発言に賛否はあろうとも、旧来の感覚では真っ当だといえる。これまで様々な事情で芸能人がユーチューブに参入してきたが、やはり都落ちという印象は拭えなかった。テレビやCM、映画などのメインストリームで活躍するのが一流の証で、それを目指して切磋琢磨するのが業界の本道だった。しかし人気芸能人が続々とユーチューブの世界に降臨し、オセロが一気にひっくり返ったような展開になったのである。

チャンネル登録者の多い芸能人ユーチューバーでいうと、米津玄師(555万人、10月21日現在、以下同)やONE OK ROCK、ARASHI、AKB48らミュージシャン勢が上位にいるが、好きなときにMVが楽しめるという点で同サイトは音楽ファンの動向にマッチしている。また、アーティスト側からすれば多くの宣伝費をかけずに、自分たちの活動が発表できる便利なツールである。

「もはやテレビからヒットが生まれる時代ではない。米津や瑛人、アニメソングもユーチューブから火がついてメジャーとなった。その流れは今後も加速する」(音楽プロデューサー)

そして、やはり注目なのはテレビから流れてきたタレントだ。カジサック、江頭2:50、霜降り明星、ジャルジャルなどお笑い芸人は、ユーチューブと親和性が高い。お笑いのネタや軽妙なフリートークが人気だ。また芸人であっても教育系ユーチューバーとして支持を得ているオリエンタルラジオ中田敦彦やソロキャンパー芸人として再ブレイクしたヒロシなど、持ち味を生かしたコンテンツが注目されている。さらに特筆すべきは俳優の存在。本田翼(215万人)、と佐藤健(196万人)を男女の筆頭に、星野源、菅田将暉、市川海老蔵、川口春奈、柴咲コウ、長谷川京子など錚々たる顔ぶれ、群雄割拠の様相を呈している。

「映画スターがテレビに出演すると電気紙芝居の役者になったとバカにされる時代がありましたが、いまはそれと同じ劇的な変化の真只中にいます。俳優はそこでファンを引きつけ、マーケットを開拓している。人気が出れば、数字を持っているタレントとして新たな仕事が舞い込むし、次の展開も期待できる」(芸能プロダクション経営者)

だが、いいことばかりではなく、ユーチューブ進出でフォロワーが少なかった場合、「人気がない」「数字を持っていない」という判断が下され、コマーシャルベースの仕事で淘汰されるリスクもある。

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