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ジョークで学ぶ「国際社会と日本人」【中国との関係】【東京オリンピック】|早坂隆

人生に必要なのは、「笑い」というスパイスだ! 現在、国際社会は新型コロナウイルス感染症の拡大という事態に苛まれている。世界はどうなる? そして日本は? 東京オリンピックは本当にできるの? 日々のニュースを見ていると気持ちが沈んでくる今だからこそ、ジョークを通して世界を見よう。

累計100万部のベストセラー『世界の日本人ジョーク集』シリーズの著者・ノンフィクション作家の早坂隆氏が、【中国との関係】【東京オリンピック】という2つのテーマをジョークで切り取ります。軽妙な話柄の中にこそ、真理の欠片は転がっている——。
(出典:『世界の日本人ジョーク集 令和編』早坂隆著)

【中国との関係】

[ジョーク]ドローン

 世界各国が自国製のドローンを披露して、その優劣を競うことになった。   アメリカ製のドローンは、操作性も耐久性も申し分なかった。見た目もカッコよく、大空を自由自在に飛び回ることができた。
 日本製のドローンは、小さくて小回りが利き、バッテリーも優秀で長く飛ぶことができた。
 フランス製のドローンとドイツ製のドローンは、お互いに近くを飛びながら牽制し合っていた。
 ロシア製のドローンは、いまだ飛び立つことができない。
 やがて、一機の謎の機体が山の向こうから近づいてきた。すべてのドローンを吹き飛ばしてゆっくりと着陸したその機体は、中国の国旗の描かれた真っ赤なヘリコプターだった。

■コロナを拡大させた失態

 今回のコロナ禍を経て、国際社会の中国に対する態度は劇的に変化しました。

 ウイルスの発生源となってしまった中国ですが、感染拡大の背景にあったのが中国共産党による情報の隠蔽。中国当局は当初、「武漢で新たな感染症が広まっている」

 と警鐘を鳴らした人々を「流言飛語を流布する者」として逮捕、拘束しました。アメリカのオブライエン大統領補佐官(当時)は、中国の初動対応について、「隠蔽工作」

 と強く批判。すると中国外務省は、

「アメリカの高官に望むことは、ウイルス対策に集中して協力を推進することであり、中国に責任をなすりつけ、中国政府や国民の努力をけなすことではない」

 と反論しました。しかし、

(責任をなすりつけるなと言われても……)

 と感じたのは、アメリカ国民だけではないでしょう。

 二〇二〇年七月にアメリカで行われた世論調査(ラスムセン社調べ)では、実に五十三パーセントもの人々が「新型コロナウイルス拡大に関して、中国は何らかの経済的補償を行うべきだ」と回答しています。

 また、オーストラリアも中国のコロナ対応を公然と批判しましたが、これに対して習近平政権は、農産物の輸入や旅行を制限する対抗措置を断行。「環球時報」の胡錫進(こしゃくしん)編集長は中国版ツイッター「微博(ウェイボー)」に、次のように投稿しました。「オーストラリアはいつも面倒を引き起こす。靴底にこびりついたチューインガムのようなもので、時には石を探してこすり取らざるを得ない」。コロナ前には積極的な貿易を通じて蜜月関係にあった両国ですが、今では深い亀裂が入っています。

 その他、ヨーロッパ諸国もこれまでの対中政策を抜本的に見直し。中国と一定の距離を置く姿勢に転じています。

 そんな中で中国の隣国である日本は、どう立ち回るべきなのでしょうか。米ソ冷戦時代の主な舞台はヨーロッパでしたが、「米中冷戦」の最前線は両国の間に位置する日本になるかもしれません。

 日本では「隣人とはなるべく穏やかに仲良くしよう」と考える人が多いようですが、国際社会では「隣人だからこそ言いたいことは言い、毅然としなければならない」と考える人のほうが多いように思います。英語には「Love your neighbor, yet pull not down your fence.(隣人を愛せ。しかし、垣根を取り壊すな)」という諺があります。「融和主義」と聞けば耳あたりは良いですが、実際には「ことなかれ主義」の隠れ蓑になっている場合も少なくないのではないでしょうか。

 日本の政治家が頻繁に使用する「遺憾」という言葉。これは「残念」「心残り」といった意味ですが、この表現が政治の場面で多用されるようになったのは昭和四十年代から。英語では「regret」「express regret」などと訳されますが、「ニュアンスが微妙すぎて、意味がよくわからない」と不評を買っています。

 日本のネット上でも「日本外交唯一の武器・遺憾砲」などと弱腰外交を揶揄する造語が浸透。「遺憾」には「甚だ遺憾」「極めて遺憾」「誠に遺憾」といった上位スペックもありますが、どの表現が最も強力なのかは日本人でも判断がつきません。

 弾切れ知らずの日本の「遺憾砲」です。

[ジョーク]地名

 二〇XX年、東京の地名はすっかり変わってしまっていた。地下鉄のアナウンスが流れた。
「次は習近平広場」
 乗客の老人が叫んだ。
「元明治神宮!」
 数分後、アナウンスがまた流れた。
「次は人民大会堂」
 老人がまた叫んだ。
「元国会議事堂!」
 それを聞いた車掌が、老人に向かって怒鳴った。
「うるさい! 元日本人!」

■習近平という人物

 中国の国家主席で、中国共産党の「序列第一位」である習近平は、一九五三年六月十五日、陝西省(せんせいしょう)の生まれ。父親の習仲勲(しゅうちゅうくん)は国務院副総理などの要職を歴任した中国共産党の大物でしたが、文化大革命の際、「反党集団の一人」と見なされて失脚。そこから習近平の人生も大きく転じました。「反動学生」と断じられた習近平は、計四度も入獄。その後、農村に下放され、貧しい生活を送ることを余儀なくされました。洞窟式の住居で暮らしながら、人民公社の生産隊で農作業に従事したと言います。

 中国共産党に入党したのは一九七四年。その後は党内において、どのような手腕や才覚を発揮したのか不明ですが、着実に頭角を現していきました。

 二〇一三年、習近平はついに国家主席に就任。就任演説の場で、彼はこう宣言しました。

「中華民族の偉大なる復興という中国の夢を実現するため引き続き奮闘、努力しなければならない」

 以降、「中国の夢」という言葉は、習近平政権の「売り文句」として使用され続けています。

 ちなみに、その外見から「くまのプーさん」「ジャイアン」などと呼ばれることもある習近平ですが、中国国内のネット上ではそのようなネタ画像が一斉に削除されたり、単語検索ができなくなったりする事態がしばしば起こります。

 かつては「世界のジャイアン」と言えばアメリカでした。日本を「スネ夫」と揶揄する表現もありましたが、今では配役がだいぶ変わってきているようです。中国がジャイアンなら、スネ夫はどの国でしょうか。

 本当のジャイアンは友人思いの優しい面もあるわけですが、習近平ははたして……。

[ジョーク]否定

 日本人が言った。
「なんでもかんでも否定から入るのは良くないよ」
 中国人が答えた。
「いや、そんなことはない」

■香港への強権支配

 習近平政権の香港への強権的な姿勢は「中国共産党の本性」を世界に知らしめる結果となりました。

 二〇二〇年六月三十日、習近平は香港国家安全維持法(国安法)に署名。これにより、香港における中国の統制力は強化され、それまでにあった高度な自治と法の支配は根本から揺らぐことになりました。

 国安法を使っての香港への直接介入には、世界中から批判が集まっています。言わば香港は、中国と世界を結ぶ「金融・ビジネスセンター」。中国への直接投資の約七割は、香港を経由して行われてきました。当然、世界は香港を無視するわけにはいきません。

 とりわけ日本は、香港と深い結びつきを有しています。在香港の日本企業の数は約千四百社にも及び、これは外国企業の中ではトップの数字です(二〇一九年六月時点)。G7は外相声明として、国安法の導入に関する懸念を表明しましたが、これを主導したのは日本でした。

 民主派活動家のリーダーの一人、周庭(アグネス・チョウ)さんは、二〇二〇年八月、国安法違反容疑で逮捕されましたが、その勾留中には日本のアイドルグループである欅坂46のヒットソング「不協和音」を口ずさんでいたと言います。

〈絶対 沈黙しない 最後の最後まで抵抗し続ける〉

 しかし十二月、香港の裁判所は周さんに禁錮十カ月の実刑判決。判決を聞いた周さんは泣き崩れたと言います。

*****

[ジョーク]切符

 北京で仲良くなった三人の日本人と三人の中国人が、一緒に旅行することになった。
 日本人たちは駅で三人分の切符を買った。しかし、中国人たちは切符を一枚しか買わなかった。日本人が聞いた。
「どうして切符を一枚しか買わないのですか?」
 中国人が答えた。
「まあ見てなよ」
 彼らは共に同じ列車に乗り込んだ。日本人たちはそれぞれ席に座ったが、中国人たちはトイレの中にぎゅうぎゅう詰めで入り、扉に鍵をかけた。
 しばらくすると車掌が切符の確認に訪れた。車掌はトイレに鍵がかかっていることに気づき、扉をコンコンと叩いて、
「切符を確認します」
 と声をかけた。すると扉が少しだけ開き、中から切符を持った手が差し出された。切符を手に取って確認した車掌は、
「よろしい」
 と言って切符を返し、立ち去った。
 その光景を見ていた日本人たちは感心した。
「なるほど。明日は自分たちもやってみよう」
 翌日、日本人たちは駅で切符を一枚だけ買った。すると今度は中国人たちは一枚も切符を買わなかった。日本人が聞いた。
「どうして切符を買わないのですか?」
 中国人が答えた。
「まあ見てなよ」
 彼らは共に同じ列車に乗り込んだ。日本人たちはトイレの中にぎゅうぎゅう詰めで入り、扉に鍵をかけた。中国人たちも別のトイレの中にぎゅうぎゅう詰めで入り、扉に鍵をかけた。
 列車が出発してしばらく経つと、中国人の一人がトイレから出て、日本人が入っているトイレまで行った。彼は扉をコンコンと叩いて言った。
「切符を確認します」

■中国共産党はナチスか?

「中国の夢」は「世界の悪夢」。中国の進出は陸だけにとどまらず、海にも及んでいます。

 二〇二〇年四月には、南シナ海で中国の公船がベトナムの漁船に体当たりして沈没させる事件が発生。中国はスプラトリー諸島などに行政区を設置するなど、強硬姿勢を強めています。

 同年七月には、中国海軍が同じく南シナ海のパラセル諸島周辺で軍事演習を実施。これに対してアメリカは、二隻の空母を派遣して強く牽制しました。アメリカはその後、原子力空母の南シナ海への展開や、B1戦略爆撃機の同海上空への長距離飛行といった対抗措置を断行。アメリカは南シナ海における中国の海洋進出を認めていません。

 中国の覇権主義は、日本にとっても他人事ではありません。中国海警局の公船による尖閣諸島(沖縄県石垣市)周辺の領海への侵入は、すでに常態化。中国は実効支配に向けた既成事実を積み上げようとしています。「日本漁船の尖閣周辺への出漁予定を中国側が把握している」という指摘もあり、「情報漏洩」の疑いもあります。

「香港の次は台湾、そして尖閣」という警鐘も鳴らされています。「問題は尖閣諸島が中国の手に落ちるかどうかではない。いつ落ちるかだ」とは、ロンドン大学キングスカレッジのアレッシオ・パタラーノ教授の言葉です。

 中国は日本に対して、「サラミ戦術」を使っているとも言われています。サラミ戦術とは、元々はハンガリー共産党のラーコシ・マーチャーシュの言葉に由来するもので、「サラミを薄く切るように少しずつ状況を変えていけば、抵抗は少ない」という意味です。

 二〇二〇年七月二十三日、アメリカのポンペオ国務長官(当時)は、対中政策について以下のように語りました。

「自由世界は新たな専制国家に打ち勝たなくてはならない」

 欧米のネット上では、中国共産党をナチスに喩えるコメントが増えています。そんな意見に対しては、次のような書き込みも見られます。「中国共産党はナチスではない。世界経済の中核を掌握することに成功したナチスだ」「中国共産党はナチスではない。ナチスドイツの失敗から学んだナチスだ」。

 習近平の英語表記は「Xi Jinping」ですが、「Xitler(シットラー)」という造語もすでに登場しています。

 ちなみに、一九三六年にベルリン五輪を開催したナチスドイツは、九年後の一九四五年に崩壊。一九八〇年にモスクワ五輪を開催したソ連は、十一年後の一九九一年に消滅しました。中国が北京五輪を開催したのは二〇〇八年。それから十三年が経っていますが、中国共産党はこのまま「危険水域」を突破できるのでしょうか。

[ジョーク]日本占領計画

 日本の巡視船が、四人の中国人が乗った不審な小型ボートを発見し、停船を命じた。日本人船長が中国人に聞いた。
「このボートはどこへ向かっているんだ?」
 中国人が答えた。
「東京だ」
「なぜだ?」
「中華人民共和国は日本を占領する。そのためだ」
 それを聞いた日本人の船員たちは大声で笑った。船長が笑いを押し殺しながら聞いた。
「たった四人でか?」
 すると中国人が答えた。
「他の同志たちは、すでに何年も前から日本で暮らしている。俺たちは作戦部隊の最後の四人だ」

[ジョーク]語学

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