同級生交歓

同級生交歓――神奈川県立小田原高校 (昭和47年卒)【全文公開】

人の一生を左右するのは校風か、学歴か、友人か。意外な組み合わせ、納得の顔ぶれが並ぶ“誌上同窓会”。「文藝春秋」の名物グラビア企画です。

(右から)
キリンホールディングス代表取締役社長 磯崎功典

医療法人社団博慈会いいぬまクリニック院長 飯沼克博

医療法人同愛会小澤病院医師 水川啓子(旧姓小澤)

日本証券金融執行役副社長 樋口俊一郎

【見開き】

神奈川県小田原市 小田原高校にて(撮影・山元茂樹)

 小田原高等学校は、旧小田原藩の藩校を源流とする歴史ある学校だ。校風はとにかく自由。先生方は、勉強せよなどと言わないが、規律と自律の精神に溢れていた。生徒は、自分に必要な挑戦を自ら見つけ、懸命に立ち向かっていたように思う。

 飯沼君は、当時は陸上部で中距離の選手。生物と化学が得意科目だったことを、今でもよく覚えている。とても誠実で謙虚な男だが、芯が強い。人から必要とされる生き方をしたいとの想いから、千葉大学医学部に進学。現在は、県内の秦野市でクリニックを開業、経営している。

 樋口君は優秀で逞しい一面がある。在校中は、夜行列車での全国一人旅、「小田高新聞」の編集、丹沢山中でのキャンプなど、充実した高校生活を送り、東京大学に進学した。その後、三十余年の公務員生活では、日本の隅々を見てきた幅広い視点と経験を活かし、様々な分野で社会に貢献してきた。現在は、証券市場のインフラの担い手である証券金融会社に在籍している。

 今回、紅一点の水川さんは、男三人とは異なり、笑顔と気配りにあふれるすばらしい女性だ。小田原市内にある実家・小澤病院を支えなくてはという強い意志から、昭和大学医学部に進学。飯沼君と同じく、医師の道を歩んでいる。

 私、磯崎は、中三の秋に父が病に倒れたことをきっかけに、家業のミカン農園を手伝いながらの高校時代だったが、これが元で農業への関心を強くした。今でもミカンの栽培を続けており、自社のクラフトビールレストランでは、毎年、私が寄付したミカンを使った限定商品を提供している。

 各人各様の人生だが、校訓「堅忍不抜」「至誠無息」の精神は皆の心に生きている。これからもこの縁を大切にしたい。また、多くの後輩が世界に飛び出し、世の中・社会のために活躍することを願う。(磯崎)



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