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大学受験に役立つ古典#2 大学受験に必要なふたつの力

文・三宅香帆(文筆家・書評家)

 1で、「大学受験では本を読んで読解力をつけることが必要ってよく言われる。でもそんな漠然とした力つけてる暇ない」というお悩みをご紹介した。というか、実際こういうことを言われて思うのは「いや、本を読んで読解力をつけるとか、そんなことできるやつだったら受験以前からやってるわ! 受験だからって読解力をつけるとか付け焼刃すぎるやろ!」ということじゃないか。

 いやー、わかるよ。今更そんなこと言われてもこまる!    遅いよ!    って半泣きになりそうになることを大人は簡単に言う生き物だよ。

 が、しかし。今更かもしれないけれど、読解力というのは、実は受験を乗り越えるにあたって、とても大切なファクターなのだ。

 なぜか。はい重要なポイントだから聞いてね(って言ってちゃんと聞く姿勢をとったあなたは立派な受験生)。大学受験に必要な能力はふたつある。「ものを読んで理解し、覚えて、自分のひきだしにそれを入れる力」と「反射的にひきだしの中のなにが必要かを判断し、差し出す力」のふたつだ。

 前者の「ものを読んで理解し、覚えて、自分のひきだしにそれを入れる力」。これは、普段ならきみが授業でやってることを、受験の場合はひとりでやらなきゃいけない……ということにつながる。

 要は、授業で先生がなにを教えてくれているかというと、「教科書に既に書いてあることを、噛み砕いて説明することによって、生徒さんたちに理解させる」「教えたことをプリントやテストを使って覚えさせる」「そして覚えたことをほかの問題でも使えるように応用できるまで教える」ことだ。理解する→覚える→応用する。この3ステップがあってこそ、私もきみも、小学校のときは九九を覚えたり、中学校のときは鎌倉時代のあとは室町時代だなんて覚えることができたわけである。1192つくろうカマクラバクフ、なんて何も教わってなけりゃ呪文でしかない。だけど先生が授業で懇切丁寧に教えて宿題をだしテストをしたおかげで、私たちは「鎌倉時代における源氏の政治は1192年から始まり……」なんて言えるようになったのだ。

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