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日本の携帯料金は高すぎる。国民のためにも引き下げる|菅義偉

菅義偉氏(71)が新たな自民党総裁に選出された。菅氏は16日に召集される臨時国会の首班指名で内閣総理大臣に選出される。総務大臣を経験した菅氏が今でも問題意識を持ち続けているのが、「携帯電話料金の高さ」だ。菅氏は強調する。電波は「国民の財産」である、と──。

突出して増えた家計の通信費

「1億7000万」。この数字を見て、すぐにピンとくる人は、どれほどいるでしょうか。

実はこの数字、わが国における、スマートフォンも含めた携帯電話の契約台数です。今や、携帯電話は「1人1台」の時代です。私はガラケーとスマホの“2台持ち”で、携帯は日常生活には欠かせません。おそらく多くの人もそうでしょう。また、携帯は災害時に家族の安否確認や情報収集をするためにも必要不可欠です。国民にとって「ライフライン」の一つといっても過言でないと思います。携帯は電話で通話するだけのものではありません。LINEでメッセージを交換したり、インターネットサイトでニュースを確認したり、買い物や銀行振り込みをしたり……。私たちは日々、スマホの通信を介して、色々なサービスを受けています。

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もはやライフラインと言える

こうした中で、家計における通信費が大きく伸びています。

総務省が発表しているデータによると、2017年の家計における通信費の平均月額は、10年前の2007年と比較すると、なんと44.6%増の約1万4000円。一方で、同じ年の家計支出全体は、月額平均で約31万3000円で、10年前より3.2%減。デフレ下で消費が減り続けているのに、通信費だけ突出して増え家計を圧迫しています。今や、携帯は子どもも持っていますし、若い世代は所得が低い方を含めて持っています。しかし、通信料は利用者ならば誰でも同じ金額を払うわけですから、所得が少ない世帯ではそれ以外の消費に回す金額は自ずと減ってしまいます。これは好ましいことではありません。

私はかねてから「日本の携帯電話料金の水準は高すぎる」「料金体系が不透明で分かりづらい」と主張してきました。そして今年の8月、北海道で行ったある講演会で、こう述べました。

「大手の携帯電話料金は、今よりも4割程度下げる余地があると思っています」

以前からの考えを改めて述べたつもりだったのですが、これには予想以上に大きな反響がありました。

「選挙対策のために言ったんじゃないんですか」

「消費税を上げるのを見越して、発言したんですよね」

一部からはこのような指摘も受けましたが、最近になって突然言い出したことではありません。2015年9月に行われた経済財政諮問会議の席上で、安倍総理は、高市総務大臣(当時)に「携帯料金の引き下げ策を検討してください」と指示しているからです。

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菅氏

世界中で下降傾向にある

日本の月々の携帯料金はどれくらい高いのでしょうか。

携帯電話事業者には、大きく分けて2種類があります。MNO(移動体通信事業者)とMVNO(仮想移動体通信事業者)です。MNOとは、回線網を自社で保有している会社で、日本ではNTTドコモ・KDDI(au)・ソフトバンクの大手3社です。一方、MVNOとは回線網を自社で保有せず、MNOからの提供を受けてサービスを展開している、いわゆる「格安ケータイ会社」はこれに当たります。

その上で、今年9月に総務省が発表した統計資料を見てみたいと思います。

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