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藤崎彩織 ねじねじ録|#12 わざわざ癖

デビュー小説『ふたご』が直木賞候補となり、その文筆活動にも注目が集まる「SEKAI NO OWARI」Saoriこと藤崎彩織さん。日常の様々な出来事やバンドメンバーとの交流、そして今の社会に対して思うことなどを綴ります。

Photo by Takuya Nagamine
■藤崎彩織
1986年大阪府生まれ。2010年、突如音楽シーンに現れ、圧倒的なポップセンスとキャッチーな存在感で「セカオワ現象」と呼ばれるほどの認知を得た4人組バンド「SEKAI NO OWARI」ではSaoriとしてピアノ演奏を担当。研ぎ澄まされた感性を最大限に生かした演奏はデビュー以来絶大な支持を得ている。初小説『ふたご』が直木賞の候補になるなど、その文筆活動にも注目が集まっている。他の著書に『読書間奏文』がある。

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わざわざ癖 

 私は自分の良い所を10個言えと言われたら「ゔ」と詰まってしまうけれど、自分の悪い所を発表しろということなら10どころか100は語れてしまう。
 そんなに自分の悪い所の事ばかり考えるよりは、良い所を伸ばせというのが令和的な考え方なのは知っているけれど、私は幼い頃から「平均的に考えて、自分は性格が悪い方なのでは?」という懸念が絶えない。
 今では小説やエッセイを書き、文章を書く仕事もしている割に、他人に対する言葉選びでは幾度となく失敗を重ねてしまう。
 だから、せめて平均値に近づくべきなのではないかと思い、日々自分を観察しながら変更するポイントを探っている。

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