オヤジの話__改___1_

芦田多恵さんのオヤジの話。

著名人が父親との思い出を回顧します。今回の語り手は、芦田多恵さん(ファッションデザイナー)です。

父のいたずら

 父は、心を震わせるものに出逢うと人に伝えずにはいられなかった。

「5分でも良いから、今すぐ来て!」

 何事かと思って行ってみると、そこには目を輝かせる父がいて、

「この絵は素晴らしい! 多恵はどう思う?」

「技術は一生懸命勉強すれば身につく。それよりも感性を磨け」という考えの人だったから、デザイナーとして技術を教えてもらったことは驚くほどない。そのぶん、美術館やギャラリーにはよく連れて行ってくれた。感動すると胸いっぱいになって大騒ぎ。アクティブで、楽しくて子どものように純粋な人だった。

 経営者としての父は「ガミガミオヤジ」。思いついたことはすぐに口に出し、やるとなれば周りを巻き込んで、ものすごいエネルギーと瞬発力で形にしていく。こういう時の父はまるで「台風の目」のようだった。

ここから先は、有料コンテンツになります。今後、定期購読していただいた方限定のイベントなども予定しています。

★2020年1月号(12月配信)記事の目次はこちら

ここから先は

757字
noteで展開する「文藝春秋digital」は2023年5月末に終了します。同じ記事は、新サービス「文藝春秋 電子版」でお読みいただけます。新規登録なら「月あたり450円」から。詳しくはこちら→ https://bunshun.jp/bungeishunju

文藝春秋digital

¥900 / 月

月刊誌『文藝春秋』の特集記事を中心に配信。月額900円。(「文藝春秋digital」は2023年5月末に終了します。今後は、新規登録なら「…

「文藝春秋digital」は2023年5月末に終了しました。今後は「文藝春秋 電子版」https://bunshun.jp/bungeishunju をご利用ください