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武田徹の新書時評|現代日本のメンタルヘルス

評論家・専修大学教授の武田徹さんが、オススメの新書3冊を紹介します。

現代日本のメンタルヘルス

新書はその名のごとく「新」知識の提供が使命だ。新しさは著者や編集者、つまりサプライサイドからの提案という場合もあるが、今回取り上げるメンタルヘルス系の新刊3冊は、そこに示される知識を強く必要としている社会状況があることを意識せざるを得ない。

一例をあげよう。日本のアルコール依存症は予備軍も含めれば2500万人に及ぶと言われる。にもかかわらず『あなたもきっと依存症』(文春新書)で原田隆之が書くように「現代は依存症に関する間違った知識や誤解にあふれている」のであり、正しい知識を手に取りやすい新書で提供する意義は大きい。たとえば甘さをおいしく感じる感性を育むことで人類は生存上必要な炭水化物を積極的に摂り入れてきたが、行き過ぎると糖質依存症に至る。このように依存症は「きわめて『人間的な病』」で、脱却が困難だ。甘く見ずに対応する必要がある。

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