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【36-国際】INF条約無効化で日本を狙う極超音速ミサイルの脅威|能勢伸之

文藝春秋digital
文・能勢伸之(フジテレビジョン報道局上席解説委員)

日本のミサイル防衛を突破されかねない

日本周辺では、北朝鮮が、「ノドンやスカッドER」といった弾道ミサイルを配備。「核兵器を搭載してわが国を攻撃する能力を保有」(防衛白書 令和2年版)し、その数量は例えば、ノドン弾道ミサイルを発射機で約10輛、90発以上保有(ミリタリーバランス2020)とされる。だが、日本に対するミサイルの脅威は、それだけではなく、2019年を境に激変しつつあると言っていいだろう。

2019年8月2日、米露の射程500~5500㎞の地上発射型核・非核弾道ミサイルと巡航ミサイルの開発・生産・配備を禁止してきたINF条約が、無効化した。理由は、大きく分けて2つ。ロシアが開発中だった9M729地上発射巡航ミサイルの射程は、2000㎞以上でINF条約違反ではないかと米国が疑ったこと。また、INF条約の当事国ではない中国が、INF射程の地上発射ミサイルの生産・配備をすすめ、米国の不満となっていたことだ。INF条約は、日本に届くロシアの弾道ミサイルや巡航ミサイルの数や性能を大きく制約するものだった。だが、INF条約の無効化に伴い、ロシアが、INF射程の地上発射兵器の生産に乗り出せば、日本に届く弾道ミサイルや、特に巡航ミサイルの数が増えることになりかねない。ロケット推進で打ち上げる弾道ミサイルと異なり、巡航ミサイルは、基本的にジェット推進で、一般に弾道ミサイルより速度は遅いものの、低空を飛行し、経路の変更も可能。このため、日本がすすめてきた弾道ミサイル防衛では対処が困難な事態が生じかねない。

次に、2019年から翌年はじめには、北朝鮮が「新型戦術誘導兵器」と呼ぶKN-23短距離“弾道”ミサイルの試験を繰り返した。このミサイルは、到達高度50㎞と、スカッドERやノドンより低く、690㎞飛翔。さらに飛んでいる途中で軌道が変化する「不規則軌道」を記録した。それだけではない。北朝鮮は、この間、低い軌道で400㎞程度飛翔するKN-24、高度100㎞未満で240~380㎞飛翔したKN-25ミサイルの発射試験を成功させている。本来、弾道ミサイルは、ロケットで打ち上げ、噴射終了後も放物線を描き、標的に落下する兵器だが、KN-23、KN-24、KN-25の飛翔は、単純な放物線とは言い難く、防衛省では「ミサイル防衛網の突破を企図。高度化された技術がより射程の長いミサイルに応用されることも懸念」(北朝鮮による核・弾道ミサイル開発について 令和2年7月)と分析した。言い換えれば、北朝鮮がKN-23等で見せた低進弾道、不規則軌道の技術で日本に届く射程のミサイルを開発すれば、日本のミサイル防衛を突破されかねない、ということだろう。

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