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コロナ下で読んだ「わたしのベスト3」 千年をかける人間の営み|本郷恵子

朝廷の儀礼や作法に関する前例・知識は、平安時代以来大切に伝えられ、参照されてきた。これらの総体を「有職故実(ゆうそくこじつ)」と呼ぶ。平成から令和への代替わりで用いられた装束や調度品は、いずれも有職故実にのっとった有職文様に飾られていた。幾何学的なデザインや独特の色使いに目を奪われた方も多いだろう。『有職文様図鑑』は、桐や竹、鳳凰や鴛鴦(おしどり)などの動植物が、いかにして文様化され、生活や儀式に用いられたかを、全編カラーで体系的に示してくれるものだ。自然や季節と、源氏物語から今回の即位儀礼にいたる歴史とが、すべてひと続きにつながっているのを知ることができる。有職故実は時空を超える。この不安の時節に、千年以上にもわたって粛々と継承される営為に思いを馳せる。

外出を控え、人と会うことも少なくなった日常で、ファッションとの距離感が変わってきた。マール・コウサカ氏は「健康的な消費のために」というコンセプトのもとに、主にSNSを通じて販売するfoufou(フーフー)というブランドを運営している。襞(ひだ)やフレアをふんだんにとった、くるくる踊りたくなるようなワンピースが主軸商品。定価で売り切りセールはしない、人気商品は何度でも再販売、各地で試着会を開催などのユニークな方法でビジネスを展開している。顧客だけでなく、デザイナーも職人も、関係者全員が幸せになれる仕組みで続けていきたいという。『すこやかな服』が新しい時代の道標となるかもしれない。

『誤作動する脳』はレビー小体型認知症の当事者による記録。典型的な症状として挙げられるのは幻視で、車の助手席に見知らぬ中年女性が座っていたりするそうだ。ほかにも幻聴や味覚・嗅覚の障害、逆に明るさに対する過敏など、五感すべてに問題が生じる。著者はさまざまな工夫で生活に立ち向かい、果敢に脳の不思議を語っている。世界の誤作動のようなコロナ禍に遭って、私たちは善戦し、前進した――と、いつか記すことができますように。

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