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福島かりんとう騒動記 糠澤正之(「ぬか茂菓子店」専務)

文・糠澤正之(「ぬか茂菓子店」専務)

「あのイギリス首相のジョンソンさんが、ですか?」

3月下旬、地元テレビの記者さんからの突然の電話に、思わず聞き返しました。ベルギーのブリュッセルで開かれた岸田首相との首脳会談の席に、ジョンソン首相が福島のかりんとうを持ち込んで、絶賛したことがネットで話題だというのです。

「フクシマ・ビスケッツ、アールグレイティー・フレイバー。サンキュー」

テレビで観たら、たしかにウチの商品でした。

私が、5代目社長の兄、6代目の甥と一緒に切りもりしている菓子屋「ぬか」は福島駅から東北本線で南へ40分、人口3万人の本宮市にあります。創業は明治12年と、このあたりでは古いほうですが、海外に輸出しているわけではないので、どうやってジョンソンさんの手に渡ったのか、私もよく分かりません。会談の数週間前に「ロンドンの日本大使館が天皇誕生日に催すレセプションで配るから」と、市役所から100袋の注文があったので、いくつかが首相にも届けられたのでしょう。

大使館から本宮市に声がかかったのは、2015年に復興支援としてウィリアム王子が本宮市を訪問されたという、イギリスとのご縁があるからだと思います。かりんとうが、さらなる友好につながるのなら光栄です。

単なる政治家のパフォーマンスだという人もいるでしょうが、いま福島では県産食品の輸入規制撤廃を世界へ訴えていますから、少しでも良い影響があるといいのですが。

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