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船橋洋一の新世界地政学 チャイナ・リテラシー

今、世界では何が起きているのか? ジャーナリストの船橋洋一さんが最新の国際情勢を読み解きます。

新型コロナウイルス後の世界で起こるバランス・オブ・パワーの変化の一つがベトナムの台頭であるかもしれない。

ベトナムはコロナ対応において世界でもっとも成功した国の一つである。4月16日以降の新規感染者は、外国から入国し隔離されていた者のみ。感染者数は334人、死亡者数0人(6月15日時点)。航空会社の国内路線は全路線がコロナ禍前と同じ通常運航に復旧している。国際路線に関しても、グエン・スアン・フック首相は、新規感染が30日以上確認されていない国・地域に対して運航を再開すると表明。ベトナム航空は韓国、台湾、香港、東南アジア諸国との間で運航再開の方針を示している。

一方、日本政府はコロナウイルス感染のため制限している出入国をビジネス目的に限定して緩めることにし、ベトナム、タイ、オーストラリア、ニュージーランドの4か国をその対象国とする方針を決めた。

なぜ、ベトナムはこれほどうまく対処できたのか?

そのわけを知人のベトナム人に質したところ、「ホンダ効果ではないですか」との答えが返ってきたと、アジアの財界人と親交の深い投資家の友人から聞いた。

「我々は、どこへ行くにもホンダのオートバイに乗っていく国民です。埃除けのためにマスクをするのが習慣になっている。それが今回は役立ったのだと思います」

東アジアの国々に共通するマスク文化がここでもやはりモノを言ったということなのか。どこへ行くにもマスクをし、マメに手を洗う。人混みを避け、社会的距離を保つ。感染を拡大させないための感染症対策マナーを人々はお上にいちいち言われなくとも率先して行う。

コロナ危機への対応は、国民一人一人の行動変容がカギである。自分を守ることが社会を守る、社会を守ってこそ自分を守ることもできる。ベトナムではそうした国家と社会の協同作業がうまく機能したのかもしれない。英国の調査会社YouGovは世界26か国・地域を対象に毎週、世論調査を実施しているが、ベトナム国民は世界で最も新型コロナウイルス感染に対する危機意識が高く、また、政府の取り組みに対する評価が高い。「政府はよく対処している」と答えたのは95%に上っている(ちなみに日本は39%)。

ただ、実際の政府の対策のうちどれが感染拡大を防ぐうえで決め手だったのか。おそらくそれは1月31日、ベトナム政府が公表した中国との“感染デカプリング”宣言だっただろう。

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