見出し画像

筒美京平 愚痴めいたお手紙 太田裕美 100周年記念企画「100年の100人」

「また逢う日まで」「魅せられて」「サザエさん」——。作曲家の筒美京平(1940~2020)は、数多の名曲、ヒット曲を残した。最も多く作品の提供を受けた女性歌手が、太田裕美氏だ。/文・太田裕美(歌手)

語り部・太田裕美

太田さん

お会いするたびに、あれほど緊張した方はいません。感性が研ぎ澄まされていて、こちらの心に隙があると、そこを突かれて「しっかりやりなさい」と言われそうなんです。実際に言われることはないのですが、いつもピシッとした気持ちにさせてくださる方でした。

音楽に対して真摯でプロフェッショナルで、常にアンテナを張り巡らせていました。仕事を離れてお食事をする機会も多かったのですが、世間話をしながらも必ず「最近、どんな音楽が好き? 誰の歌を聴いてるの?」という質問がありました。

私が1982年に仕事をお休みしてニューヨークで充電していた間も、お手紙をやり取りしていました。亡くなったあとに読み返していたら、先生がぼやいている手紙が見つかりました。ちょうどコンピューターサウンドが出てきた頃で、「音楽も時代が変わってきた」と、愚痴めいたことが書いてあったんです。時代の流れの中で、葛藤があった時期だったのかもしれません。そのくらい、流行に敏感でいらしたのでしょう。

筒美京平

筒美京平

ここから先は

305字
noteで展開する「文藝春秋digital」は2023年5月末に終了します。同じ記事は、新サービス「文藝春秋 電子版」でお読みいただけます。新規登録なら「月あたり450円」から。詳しくはこちら→ https://bunshun.jp/bungeishunju

文藝春秋digital

¥900 / 月

月刊誌『文藝春秋』の特集記事を中心に配信。月額900円。(「文藝春秋digital」は2023年5月末に終了します。今後は、新規登録なら「…

「文藝春秋digital」は2023年5月末に終了しました。今後は「文藝春秋 電子版」https://bunshun.jp/bungeishunju をご利用ください