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霞が関コンフィデンシャル〈官界インサイドレポート〉

日本を動かすエリートたちの街、東京・霞が関。日々、官公庁を取材する記者たちが官僚の人事情報をどこよりも早くお届けする。

★人材難の背景には

コロナ対策を担う厚生労働省の幹部異動が宙に浮いている。発令時期の7月前後が新型コロナの感染拡大期と重なり、機を失った。コロナ対策を仕切るには心もとない人材事情も官邸が人事をためらう要因となっている。

勇退が視野に入る樽見英樹次官(昭和58年、旧厚生省入省)は昨年9月、初代内閣官房新型コロナウイルス対策推進室長から事務方トップに就任。コロナ禍に当初から対応し、杉田和博官房副長官(41年、警察庁)の信も厚い。将来的には宮内庁ポスト登用や、官房副長官候補も視野に入る。後任には吉田学新型コロナ対策室長(59年、旧厚生省)が挙がるが、「柔軟性を欠き上の言うことをそのまま受けてしまう」(同省関係者)との評は相変わらず。飲食店の酒類提供停止をめぐる金融機関や卸への「圧力」問題では、短所が露呈した格好だ。

吉田氏が昇格した場合、コロナ対策室長の後任は、人事上、濵谷浩樹保険局長(60年)が順当だ。しかし濵谷氏はコロナ対策にほぼノータッチで医療現場事情にも明るくない。官邸幹部も「ネックは吉田の後任だ」と話す。

一方、省内であおりを食う形なのが旧労働系。旧厚生・労働両省統合後は、たすきがけだった次官人事も近年は厚生系で回る傾向で、さらに新型コロナ対策が国の最重要政策となる中、労働系次官の誕生は見通せない。直近では村木厚子元次官(53年、旧労働省)まで遡るが、「次官に適任とは言えない村木を登用したことでその後の人事がくるった」(厚労省幹部)との声もちらほら聞こえる。労働系トップの土屋喜久厚労審議官(60年)は退任し、坂口卓雇用環境・均等局長(同)が昇格する公算だ。

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厚労省

★早くも新たな火種

国土交通省の事務次官は7月の人事で栗田卓也氏(昭和59年、旧建設省)から技官畑の山田邦博氏(同)に交代したが、早くも新たな火種が燻る。国交省の次官ポストは運輸事務官、建設事務官、技官が3年で一巡りするのが暗黙のルール。順番通りの無難な人事となった背景には昨年の教訓がある。

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