世界経済の革命児_大西康之

“トランプに勝てる男”マイケル・ブルームバーグとは何者か。

ジャーナリストの大西康之さんが、世界で活躍する“破格の経営者たち”を描く人物評伝シリーズ。今月紹介するのは、マイケル・ブルームバーグ(Michael Rubens Bloomberg、前ニューヨーク市長、ブルームバーグ創業者)です。

使用_202002 世界経済の革命児顔写真(マイケル・ブルームバーグ)※共同通信_トリミング済み

マイケル・ブルームバーグ

500億ドルでトランプに挑む「金融情報」の先駆者

「トランプに勝てるのはこの男しかいない」

 いま、米国でこう評されているのは、昨年11月に米大統領選挙の民主党候補者指名争いに出馬することを表明した前ニューヨーク市長のマイケル・ブルームバーグだ。

 元は共和党の支持者だったが、トランプが「米国とその価値観を脅かしている」こと、民主党の候補者選びが混沌としていることに痺れを切らせ、自ら立候補した。

 ブルームバーグはこう警告する。

「トランプを打ち負かし、米国を立て直すために出馬する。トランプ大統領による無鉄砲で倫理観を欠いた行動がさらに4年続くことに、米国は耐えられない。再選された場合、米国が受けるダメージは二度と修復できなくなるだろう」

 ポーランドから米国に渡ったアシュケナジム系ユダヤ人移民の両親の元、1942年にマサチューセッツ州ボストンで生まれた。1964年に、ジョンズ・ホプキンス大学電気工学科を卒業し、ハーバード・ビジネス・スクールで経営学修士(MBA)を取得した。

 卒業後は、証券会社大手のソロモン・ブラザーズで敏腕トレーダーとして鳴らし、システム部のトップに就任した。さらに、金融マンとしての成功の証である共同経営者(パートナー)にも上り詰めた。

 だが会社が商品取引会社フィブロに買収されると、パートナー制が廃止され、「クビになった」。

 とはいえ、30代でソロモン・ブラザーズの重役になった逸材である。再就職の道がなかったわけではないが、大企業の権力争いに嫌気がさしていた。

「大企業では肩越しから君の考えは間違っているという人間がたくさんいる。小さな会社ではそれがない」

 1981年、ソロモン・ブラザーズから受け取った1,000万ドル(約10億円)の退職金を元手に金融情報会社「ブルームバーグ」を設立した。金融の世界で生きてきたブルームバーグには1つの確信があった。

「顧客に必要な金融情報を時間や場所を問わず提供すれば、成功できる」

 金融情報の配信サービスにはロイター、テレレートといった先行組がいたが、トレーダーの経験があり、自らが情報サービスのユーザーだったブルームバーグは、「使いやすい情報」の提供で大手を猛追する。

ここから先は、有料コンテンツになります。今後、定期購読していただいた方限定のイベントなども予定しています。

★2020年2月号(1月配信)記事の目次はこちら

この続きをみるには

この続き: 1,051文字
この記事が含まれているマガジンを購読する
政治家や経営者のインタビュー、芸能人の対談、作家のエッセイ、渾身の調査報道、心揺さぶるノンフィクション……「活字エンターテインメント」のすべてがここにある。

文藝春秋digital

月額900円

シェアしたくなる教養メディア。発行部数No.1の総合月刊誌「文藝春秋」が、月額900円であなたの人生を豊かに彩るコンテンツを毎日お届けしま…

この記事が気に入ったら、サポートをしてみませんか?気軽にクリエイターを支援できます。

note.user.nickname || note.user.urlname

サポートありがとうございます。もっともっと面白く、クオリティが高いコンテンツを作っていけるよう、頑張ります。

ありがとうございます!
12
シェアしたくなる教養メディア。100年近くの歴史がある総合月刊誌「文藝春秋」が、あなたの人生を豊かに彩るコンテンツを毎日お届けします。

この記事が入っているマガジン

文藝春秋digital
文藝春秋digital
  • ¥900 / 月

シェアしたくなる教養メディア。発行部数No.1の総合月刊誌「文藝春秋」が、月額900円であなたの人生を豊かに彩るコンテンツを毎日お届けします。

コメントを投稿するには、 ログイン または 会員登録 をする必要があります。