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スガーリン独裁が内部崩壊 「菅降ろし」へのカウントダウンが始まった【赤坂太郎】

支持率回復のための弥縫策は外れるばかり……

「憲政史上最長最強の剛腕官房長官」で「危機管理のプロ」などともてはやされたのは、わずか4カ月前。首相の菅義偉自身がマスコミを操縦して作り上げた虚像は、永田町雀も驚くほどあっけなく崩壊しつつある。

菅は自民党史上初の無派閥出身の首相でもある。だが、コロナ対策が後手に回って内閣支持率が暴落すると、その無派閥が最大の弱点に転じている。「菅には40人もの無派閥の中堅・若手が付いている」と喧伝されたが、それぞれが菅と個別に結び付いているだけで、政権が窮地に陥っても組織的に守る動きは出てこない。

「菅グループ代表」として官房副長官に抜擢された坂井学は国会との連絡役さえ満足に務められない。「菅の単なる信者。教祖様に何も言えない」。菅側近の国対委員長・森山裕の周辺からも、そう無能呼ばわりされる始末だ。

焦りを募らす菅が起死回生の策と目論んだのがテレビ出演と人事だ。年末から年始にかけて全局の報道番組に出演。緊急事態宣言の対象地域に7府県を追加した1月13日には、自らの会見の開始時間を日頃の午後6時から7時に変更。各局ニュース番組の中で視聴率が最も高いNHK「ニュース7」で中継させた。

だが、「メモの棒読みばかりで驚くほど喋れない」(自民党中堅議員)。言い間違えや意味不明の受け答えも相変わらずで、SNS上には菅批判のコメントがあふれた。「首相の資質の欠如」という認識が、もはや国民レベルで共有されていることを示している。

コロナ対策が迷走する根本的な原因は、細かいことまで自分で決めないと気が済まない菅の気質にある。

首相秘書官の人事が象徴的だ。政権発足に伴い、慣例を無視して官房長官時代の若い秘書官たちをそのまま横滑りさせた。それが躓(つまず)きの第一歩だった。

財務省、外務省、警察庁など省庁出身の長官秘書官は課長級だ。一方、歴代の首相秘書官は基本的に局長級、それも次官候補のエリートが就くことが多かった。首相秘書官は各省事務次官や局長らに首相の意向を伝え、政策調整を行う重要な役目を担うからだ。それにもかかわらず、菅はイエスマンの若い長官秘書官たちを起用した。

入省年次が何より重視される官僚の世界で、首相の指示を伝えるのが課長級では、各省幹部たちはどうしても「なぜ課長風情に命令されなければならないのか」と受け止め、官邸と霞が関との間には溝が生まれる。

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菅首相

「スガーリン」独裁の内部崩壊

同時に、課長級の秘書官では菅に気後れし、都合の悪い情報は入れない。必然的に首相は「裸の王様」になる。官房長官時代から、気に入らない意見を言う役人には机を拳でたたきながら怒り、時には左遷させる姿を彼らは目の当たりにしてきたのだ。霞が関では、菅はいつからか旧ソ連の独裁者であるスターリンに擬(なぞら)えて「スガーリン」と呼ばれている。

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