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短歌ーー東直子【全文公開】

赤い猫

車掌さん、車掌さん、と呼んでみる ガスの炎や煮えたぎる湯を

寿歌(ほぎうた)はひとりひとりの花野なり二両列車が遠くでひかる

昆布だしの泡動きつつ消えゆきぬ勝ち気な人が落ち着いている

赤い猫かわいがっていたよねとささやかれつつゆく隅田川

地下室と屋根裏部屋を感情がつなげて安らかなる階段よ

夜の街はさびしい花火 オルガンが奏でる祝意あびて戻った

歯を磨くとちゅうでひどく眠くなる少し雀を好きになりそう



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