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詩|三角みづ紀

四月の魚たち

デパートの春売り場が ひしめきあい
あたらしい時間を探している きみが
ぼくが なまぬるい空気のなかで
あけたりしめたりして ここは水槽だ
ぼくたちは、すでに出会っているので
つぎに訪れるものは別れだったりするのだろうか。
ますます口をぱくぱくさせて 酸素を吸って
帰宅したらベッドに横たわり ふたりで沈んでいく
つないだ手からほころびはじめて朝にはほつれてしまう
咲きほこる日常が枯れないように目をひらいたまま眠る

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