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【イベントレポート】LTV(顧客生涯価値)最大化のための“顧客の心をつかむ”マーケティング

近年、「LTV」をマーケティング指標として重視する企業が増えている。LTVとはLife Time Valueの略で「顧客生涯価値」と訳されている。顧客1人あるいは1社の顧客がサービスを利用しているライフサイクル全期間で、その顧客が企業にもたらした価値(利益)の総計のことと定義され、長期的かつ継続的にサービスを購入・利用する顧客ほど、LTVが高くなる。
LTVにはいくつか計算方法があり、LTV=顧客の平均購入単価×平均購入回数を指標とする場合や、長期契約に適した商材を扱う企業の場合は、LTV=顧客の年間取引額×収益率 ×継続年数など、リピーターの創出や解約率を重視する場合にも重要な指標として重宝されている。

では、こうしたLTVの高い顧客を獲得するためにはどのようなアプローチが最適なのだろうか。既存顧客に対しては「いかに2回目、3回目を買ってもらうか」を追求し、良好な関係を継続していくことが求められる。一方、新規顧客に対しては「いかに2回目、3回目を買ってくれそうな顧客にトライアルしてもらうか」が鍵を握っており、ファーストコンタクトの時点で顧客像をしっかりと描き、心をつかむことが不可欠となる。
第4回目を迎えるシリーズ「真実の瞬間」では、「消費者理解の徹底から見えてきた、選ばれ続けるブランドの確信」に焦点を当て、LTVを最大化するための戦略の方向性、データの活用法、留意点などについて、実践的な事例も踏まえながら考察した。

〇基調講演

LTVの最大化の本質
~顧客に選ばれ続けるためにマーケターが“まず”取り組むべきこと~

株式会社クー・マーケティング・カンパニー
代表取締役
音部 大輔氏

17年間の日米P&Gを経て、欧州系消費財メーカーや資生堂などで、マーケティング担当副社長やCMOとしてマーケティング組織強化を通したブランド成長を実現。2018年より独立し、現職。消費財をはじめ、輸送機器、家電、化粧品、広告会社、放送局、電力、ネットサービス、BtoBなど国内外の多様なクライアントに、マーケティング組織強化やブランド戦略を支援。博士(経営学 神戸大学)。

◎パーセプションフロー・モデルとLTV
まず、LTVとも密接に関連する「パーセプションフロー・モデル」の話をしたい。それは全体を俯瞰して、全体最適を実現しやすい“マーケティング活動の全体設計図”だ。パーセプションフロー・モデルを考えることにより、マーケティングROI※を改善できる。LTVも、マーケティングROI改善策のひとつである。
※ROI=Return of investment、投資対効果

パーセプションフロー・モデルは音楽で言うと楽譜のようなもの。マーケティングで言う「ブランド~複数の部門・代理店~消費者」、という三者の関係に当てはめると、「作曲家~複数の演奏家~聴衆」という関係になる。作曲家=ブランドが思い描いた音楽を、聴衆=消費者に届けようと思うと、間に複数の演奏家=複数の部門・代理店が必要だ。

TVCMが、主旋律を歌う絶大な威力を持つ“女王”ではなくなった今、全体最適を考えるきちんとした交響曲の楽譜のようなパーセプションフロー・モデルを持つ意味、意義は大きい。複雑なタッチポイントを持つマーケティングの全体像を作り上げることはなかなか難しい。LTVを考える上でも、私の著書の『マーケティングの技法~パーセプションフロー・モデル全解説』を参考にしてほしい。

LTVに関連してよく見聞きするのは、トライアルしたいと思わない認知(策)/リピートする気にならないトライアル(策)だ。ブランドマネジメントは、認知⇒購入意向⇒購入⇒使用⇒再購入⇒口コミ、という上から下へ流れるファネル(じょうご)型でいいのだろうか? 下から上がっていく、数え上げていくエレベーター型で、上の段階での無駄な獲得を減らすことで変換率を高めることを考えてみたい。

リピートに至る購入/購入に至るべき認知の取り方、を考えるのが効率の良いLTV改善だと考える。“ロイヤルユーザー”を良く知ることが大切だ。誰でもいいからまずは買ってくれる人に買ってもらい、事後に高いLTVを目指すのではなく、事前にLTVが高くなりそうな人を把握し、彼・彼女らに買ってもらう、満足しそうな人に優先的に訴求する。期待が明確であれば満足が発生しやすいため、口コミもポジティブになりがちであり再購入にもつながる。メディアの構造の変化もあり、“AIDMA”のAttentionとInterestの順序はいまや逆転している。消費者が感じているInterestの範疇でないとAttentionは得にくい。

◎ブランドとターゲット
ブランドを定義するときに最も大切なコンポーネントが「ターゲット消費者(Who)」と「ベネフィット(What)」の2つである。ターゲットセグメントが明確だと、マーケティング活動の効果と効率を上げられる≒同質性の高い人たちであれば、同じベネフィットひいては同じマーケティング活動で訴求できる。

加えて、ベネフィットが明確だと、欲しい理由が使用体験と一貫して顧客に満足を提供しやすい。値引きやおまけ、店員やタレントが動機での購入はブランドマネジメントやLTV改善・獲得には貢献しにくい。これらはブランドによるブランド体験ではないからだ。

ターゲット設定を年齢と性別ひとくくりで行うべきではない。年代よりもむしろパートナーや子供の有無、ライフスタイルで設定すべき。また、20代をターゲットにする場合も、人生経験の短さ/未来の長さ/後輩より先輩が多い/収入の多寡/都市生活者/デジタルリテラシーといった視点で考えるとよりターゲットに密着でき、心の中に入りやすいコミュニケーションができる。

ターゲットは多ければ多いほどいいわけではない。例えば、マーケティング予算が10万人の新規獲得に対して10億円付与されるとする。プランAは50万人を対象とするので1人あたり2000円使える。プランBは500万人なので、1人あたり200円となる。ターゲットは絞り込まないと薄すぎて、閾値を超えられない。そもそも「当たり」が出ない。

絞り込めるだけの消費者理解をきちんと行うことが大事だ。理解すべきは、ユーザーは誰で(ターゲット消費者、とくにロイヤルユーザー)、何を気に入っていて(ベネフィット)、どのように使ってくれているのか(使用習慣)。高いLTVやROIを取るにはこれらが非常に大切なことだ。

◎消費者理解のヒント
最近、感動したストーリーは「人と人との関係」についてではなかったか? われわれは、人間関係の変化(特に改善)に触れると感動する。マーケティング・コミュニケーションにおいても、自分たちのブランドが、彼・彼女が大事にしている関係の中でどのように貢献できるか、という視点でベネフィットを意識する。自我はその関係を示唆する。どのような自我(アイデンティティ)でモノやコトに向き合っているか、誰との関係を大事にしているか、を意識したい。

我が社の(自社の)ブランドを買わない理由は、知らない/製品が良くない/値段が高い/売っていない、からではなく「買う理由がない」からである。競合品を使っている理由を知ることは現状理解として大事なので、ユーザーに使っている理由を聞いてみることは有益。

◎まとめ=高いLTVのために
① エレベーターの構造を意識してみる

・そもそも、ターゲットは同質性が重要
・原型としてロイヤルユーザーをよく理解する
・欲しい理由とブランド使用体験の一貫性を意識する
・ライフスタイルや人生の価値観でターゲットを設定する
・ターゲットは絞っていると安心

② 人間を理解する
・人と人の間に入ったブランドは、感情を通してつながりやすい
・買わない理由は、買う理由がない

〇ゲスト対談

湘南美容クリニックCMO片寄氏に聞く!
売上も満足度もアップさせるデジタル戦略とは

SBCマーケティング株式会社
代表取締役社長
片寄 裕之氏

日本大学文理学部卒業、久光製薬入社、約13年間の在籍中、OTC営業、サロンパス、フェイタス等のブランドマネジャー、消炎鎮痛カテゴリーのマーケティング課長を歴任。2007年ジョンソン・エンド・ジョンソン コンシューマーカンパニーに入社。約9年の在籍中トレードマーケティングマネジャー、ジョンソンベビー等のブランドマネジャー、OTCマーケティングマネージャーを歴任。15年よりSBCメディカルグループCMO/マーケティング部長。

株式会社ヤプリ
エグゼクティブスペシャリスト
伴 大二郎氏

小売業界においてCRMの重要性に着目。一貫してデータ活用の戦略立案やサービス開発に従事した後、2011年にオプト入社。マーケティングコンサルタントを経て、15年よりマーケティング事業部部長として事業拡大に向けた組織作りに着手。マーケティングマネジメント部やOMO関連部門等々を立ち上げ、統括しながらエグゼクティブスペシャリストという立場から社内外への発信活動を行う。21年6月、ヤプリに参画。

開発⇒運用⇒データ分析⇒アップデートというループが、ノーコードで簡便に行えるアプリプラットフォームが「Yappli」。モバイルアプリであるyappliのほか、顧客管理システム/アプリCRM施策/ポイントシステムを既存システムと組み合わせて統合管理する「yappli CRM」もある。湘南美容クリニックは2021年2月からYappliを活用している。いかに顧客とつながりLTVを上げて行くか、を片寄氏と伴氏が語り合った。以下は抄録。

「従来、企業の活動は販売したところで終わっていた。しかし企業のゴールは顧客のスタートにあたる。企業は、購入⇒使用⇒用事解決という顧客体験の随所で「接点」を持つことが大切。誰が、難のために買い、どのように使ったか、満足したか、を知り、データを活用してクーポン付与やコンテンツ提供などのアクションを起こし、顧客とのつながりを強化するためにアプリは有用だと考えている」(伴氏)

「SBCメディカルグループは、『湘南美容クリニック』を始めとした美容医療クリニックなどを国内外で123院展開。治療を“医療”と捉えず “医療サービス”と捉え、患者を“お客様”と捉えて満足度の高い治療を提供し、豊かな人生を送るお手伝いをしている。私のミッションは、毎年持続的に売上・利益・シェア目標を達成させるために、限られた広告予算を運用しながらマーケティング(集客)システムを構築すること。新規顧客創造とファンベースマーケティングシステムを両立させ、マーケティングROIの最大化を目指している」(片寄氏)

「マーケティングは短期・中期・長期で考える必要がある。短距離走と長距離走を同時に行っているようなもので難しい部分はあるが、人生と同じで区切れるものではなく、各マーケティング施策が常につながっているという視点を持って、短期と長期を両方見据えて戦略構築をしていかなければならない」(伴氏・片寄氏)。

「長きにわたり広告予算を投下して新規顧客創造を行ってきた。しかし、それだけだと先述の持続的成長、ミッションを達成することはできない。LTVの視点は不可欠だ。美容医療事業の顧客セグメント別売上成長率を分析すると、コロナ禍最盛期の2020年は成長が鈍化し、新規顧客は対前年比95%となったが、リピート客(同126%)・優良客(同124%)が持続的成長には欠かせない存在であることが改めて分かった」(以下すべて片寄氏)

「優良顧客(LTV最大化のためのKPI)を作るために、初診年齢と初診治療の切り口で顧客行動分析を行い、その上でニーズの変化と必要な提供価値を理解した。若年層は二重や脱毛など『チェンジ/エチケット』のためにサービスを利用し、30代になるとしわ取り注射等の『キープ』のために、40代以上になってくるとリフトアップレーザー等の『元に戻す』ために利用する。顧客行動の分析により、必要な仕掛け時と課題を把握することは大切だ」

「とはいっても50年間を視野にLTVを設計するのは難しいので、過去15年分の顧客行動分析を実施し、2021年より、SBCポイント会員制度をリニューアルした。1回の購買額ではなく2年間の来院頻度と累計購買額を優良顧客(LTV最大化のためのKPI)として定義化した」

「また、顧客行動パターン別のマーケティング課題(必要な提供価値)を明確にして戦略を立案した。①単発高額施術型 ②同一施術継続型 ③施術カテゴリジャンプ型 に分類。長く持続的に通ってもらえる優良顧客になり得る③の顧客をいかに増やしていくか、が重要なミッションになっている。短期の売上や目標達成で考えると①②の増大を追求しがちだが、顧客満足度を高めて①②の顧客を③に繋げる、ブリッジする導線を作れれば、マーケティングROIは大きくなる」

「今後の重要課題は“単年ビジネス目標と中期目標達成のための広告費の配分最適化とLTV育成システムの両立”につきる。短期的なモーメント作り=どんな人にどんな時にどんな価値の提供が必要か、効率や効果を高めるためにアプリやAIを使えるかどうか、を考えている。マーケティング戦略LTV期間(長くても3年)で顧客満足度が最適になるマーケティングシステムを構築する。そして、短期目標ミッション達成とLTV最大化ミッションを両立させるマーケティング組織の構築を検討している」

〇特別講演

LTV最大化に向けた「顧客との約束」
~ 選ばれ続けるブランドに不可欠なこと ~

株式会社DINOS CORPORATION
CECO(Chief e-Commerce Officer)
石川 森生氏

新卒でSBIホールディングス株式会社入社。SBIナビ(現・ナビプラス)の立ち上げに参画、営業統括の責務を担う。その後、ファッション通販サイトのマガシークにてマーケティング部門の責任者となり、サイトリニューアルやサイト改善PDCAの確立、広告CRMの最適化、海外の最先端ソリューション導入を推進。2014年1月、株式会社タイセイのWEB部門を分社化する形で株式会社TUKURUを創業。イントレプレナーとして常に企業の課題解決に従事。16年2月より、株式会社DINOS CORPORATIONでCECO(Chief e-Commerce Officer)として、既存の枠組みを超えるサスティナブルなECビジネスを構築するというミッションを実践している。

フジテレビのテレビ通販番組から発展した、創業50年を越える通販ブランド「ディノス」を展開するDINOS CORPORATION。同社のコーポレートスローガンが“Everything Has A Story”だ。扱う商品一つひとつには、メーカーや生産者が込めた思いが込められており、それを我々のMD(バイヤー)が一つひとつ見つけてきてお届けする、そして、購入したお客様それぞれの生活や物語のなかに我々がお届けする商品が入っていく──というダブルミーニングになっている。Everything Has A Story は、LTVの捉え方・考え方にも通じる。

◎なぜ今“LTV経営”なのか
マーケティング施策は、顧客獲得(Acquisition)と、関係維持(Retention)の二つに大きく分類される。新規獲得と顧客維持のどちらに重きを置くべきか、はよく議論になるが、基本的にはリテンション活動から先に行うほうが合理性は高いと考える。

というのも、顕在顧客/潜在顧客/低関心層、は同心円上に置くことができ、その中心にいる知識やニーズが既にある顕在顧客が、当然のことながらCPA※が最も安い。逆に、低関心層のCPAは高くつく。LTVが高まると限界CPAが高まり、より関心の薄いユーザーまで獲得(リーチ)を広げることができるため、多くの新規顧客獲得が成されビジネスがスケールする。これがリテンション投資を優先し、LTV経営を進めるべき理由だ。
※CPA=Cost per acquisition、顧客獲得コスト

◎CRMを取り巻く環境と高まる重要性
世界が、ITP/GDPR/CCPA/LPGDなど個人情報の利用制限に動き出した。主にクッキーを使った個人追跡から、群衆理解へと変化することが余儀なくされるため、今後、顧客との関係維持を目的としたオンラインでのタッチポイント創出が難しくなってくる。
 
広告主側への影響は大きい。事業の維持・拡大のためには、離脱以上の新規獲得が必須だ。一人のロイヤル顧客の離脱は一人の新規顧客ではカバーできない(新規顧客に販売するコストは既存顧客に販売するコストの5倍かかるという1:5の法則)。よって元来、マーケティング予算の大部分は新規獲得予算へ、という傾向がある。しかし、先述の通り、リテンションが機能していない状態での新規獲得施策は効率が良くない。これまでのようなテクノロジーを用いた小手先のCRMでは、新規獲得の足元が揺らぐことになる。

そこで、ディノスでは顧客離れを5%改善すれば、利益が最低でも25%改善されるという5:25の法則で現在の状況を捉えている。売上・利益の大半は既存顧客からもたらされる。顧客との関係構築はリテンション施策の積み上げから、と考えている。リテンションが効き、LTV経営が実現されれば、多くの新規顧客との接点を構築することが可能となる。

◎各業態のCRM施策から見るディノスの戦略
ダイレクトマーケティング(D2C)では、初回の購入後なるべく早期に2回目を購入してもらい、定期購入=サブスクリプション申し込みもできれば行ってもらうシナリオを描く。さまざまなソリューションが進化した現代では、リテンションのために関連商品レコメンドやパーソナルクーポンなどを、メールやAPPプッシュ通知、LINEなどを用いて適切なタイミングで顧客に届けることができる。

それはシステマティックかつ再現性の高い仕組みであり、健康食品やサプリ、コスメなどさまざまな商品・消費財の通販に応用が効く。しかし、ビジネスモデルとしての完成度が高く商品を選ばないという特性がゆえに“本当の意味でのよい商品、よいサービス提供が出来ているか”を常に自問しながら使っていかないと、本当の意味でのLTV経営に繋がらないこともあるので注意が必要だ。

消費財以外では、家具など、頻繁には購買をしない、リテンションがかかりにくい商材もある。例えば私が社長を務めている「KANADEMONO」。無料でサイズオーダーができる特徴を持つ、デザイン性を重視した家具ブランドだ。KANADEMONOでは4割近いリピーターがいる。コンピューターグラフィクスによる、家具・空間コーディネートのコンテンツを顧客に配信しリテンションを図っており、商品の提案というより暮らし、空間の提案を行っているためだ。テクノロジーの活用により、リーズナブルなコストで独自性のあるコンテンツ訴求ができているため、通常であればリピート性の低い商材でも継続した顧客コミュニケーションが可能となる

多品種モール型の通販ではどのようにして顧客との継続したタッチポイントを作るのだろうか。例えばディノスではコミュニケーションツールとして従来からの強みでもあった紙のカタログを今でも使っている。紙とウェブは対立構造にはなく、補完関係にある。コンテンツを透過光によりディスプレイで見た時よりも反射光で画像や文字を認識する紙媒体を見た時のほうが、重要な意志決定に関わる脳の前頭前皮質部分が強く反応した、という脳科学的データもある。

これはリアル(フィジカルな媒体)でモノを見たほうが深いコミュニケーションができる、という実例であり、紙もツールとして使う価値はまだまだある。ディノスは通販画面でカートに入れながら購入に至らなかった“カート放棄”商品をできるだけ早いタイミングで(最短24時間後)ハガキに印刷して各顧客に送付し、購入を促す施策も行っている。こちらもテクノロジーの発達で早期低コストでの制作・印刷・発送ができるようになっている。

また、顧客が既に購入した商品と類似の、あるいは相性のよい商品やコーディネートをおすすめする、パーソナライズ化されたカタログ小冊子『COORDINATE IDEA NOTE』も顧客に送付している。表紙にはその顧客が購入した商品の写真と「Like it!」のコピーをあしらい、中面の写真類と商品は許諾取得済みのインスタグラムとAI解析を利用して構成・セレクト。デジタルとアナログ・紙のいいところの組み合わせで他社が模倣しにくい独自のコミュニケーションフローを作り上げている。ウェブのユーザー、紙のユーザー双方から好評で、レスポンスも良い。

データのインプットには、アプリも活用している。スキャン機能をアプリに持たせ、紙カタログの表紙と中面をスマホのカメラで読み取ると、商品の在庫やその顧客が今購入できる価格がリアルタイムでアプリに表示される。印刷された紙のカタログでは在庫やキャンペーン価格はわからないが、アプリ利用でそれが手許で即可能になった。顧客データの蓄積にもつながり、今まで見えていなかった顧客のニーズもつかめ、新たなコミュニケーションが取れるようになった。

このように、商品が持つSTORYをアナログもデジタルも全て注ぎ込んでお客様に届けることで、お客様の「欲しい!」の瞬間を創造し、他者が再現できない唯一無二の買い物体験を提供すること。その先にLTVの最大化がある、とディノスでは考えている。

2022年11月28日(月) オンラインにて開催・配信

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