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「憲法を改正する必要はあるか」“不道徳”な現行憲法は一刻も早く改正すべき

1つのテーマで対論を読んで思考力を鍛えよう。このコラムのテーマは「憲法を改正する必要はあるか」です。
★対論を読む

文・廣池幹堂(公益財団法人モラロジー研究所理事長)

 今、安倍内閣は戦後の総決算として憲法改正の大事業に取り組もうとしています。しかし、野党の相も変わらぬ反対姿勢やマスコミの偏向報道もあって、大方の国民の理解が得られず、一歩も議論が進まないのが現状です。

 私は日本国の再生のためにも憲法改正は一刻の猶予もないと思います。

 その理由は、この「平和憲法」の中味が余りにも非現実的で何か他人事のようでもあり、無責任としか思えないからです。この憲法は、国家、国民生活の基本である国防、家族、そして教育について美辞麗句を並べていますが、そこには日本人の歴史・文化、それを継承する誇りや覚悟、夢や希望も何も感じられません。

 まず9条第2項には、『前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない』とあります。私は専門家ではありませんが、武力を持った自衛隊は明らかに憲法違反でしょう。内閣法制局長官がどう解釈しようと、普通に考えれば選択肢は2つ。憲法を改正するか、自衛隊を廃止するかしかないと思います。

 しかし、自衛隊は存在し、日々日本の国土と国民を守り、ときには海外で世界の平和に貢献しています。こうした現実を放置することこそ不誠実で不道徳の極みではないでしょうか。

 自衛隊員が日夜、国家のために働き続けていることは、今や多くの国民の間で理解されていると思います。とくに災害派遣での活躍は特筆すべきです。阪神・淡路大震災のとき、県による派遣要請が遅れたため、本来は救えたはずの人命が多く失われました。政府や自治体もこのことを深く反省し、東日本大震災ではいちはやく派遣要請・命令が出て、多くの人たちの命を救いました。その後も相次ぐ風水害で獅子奮迅の働きをしていることはメディアなどで見るとおりです。

 これらの災害派遣は、本来の任務である国土防衛とは全く別に、地方の要請で行われますから、隊員の負担は推して知るべしです。

 東日本大震災の時には、自分の家族の安否も不明の中で黙々と被災者の捜索救援活動に当たる隊員の姿に、被災者たちが思わず手を合わせて感謝するというシーンが見られました。当時、高校生の多くが将来の職業に自衛官や警察官をまっ先に挙げたとも言われています。

 そんな自衛隊員に対して国や地方自治体はどう報いているでしょうか。

 厳しい任務遂行のためには、心身健全な若い隊員補充が欠かせないことは言うまでもありません。ところが平成29年版の防衛白書を見ると現役隊員の充足率は90.8%。最多の陸上自衛隊では定員15万余人に対して13万5,000余人。定員の1割が不足しています。

 その原因は、隊員の採用に大変な困難があるからです。隊員募集に当たって自治体が住民基本台帳の情報を提出して協力することは、自衛隊法などで定められ、閣議決定もされている義務です。ところが、自治体全体の6割が協力していないという驚くべき実態があります。中には憲法違反を理由として台帳の閲覧さえ拒否する自治体もあると聞きます。

 苛酷な任務に就かせておきながら、このようなことがあってよいはずがありません。自衛隊をしっかり憲法に明記しなくてはならないということの意味は、こうしたところにあるのです。

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