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橘玲さんが今月買った10冊の本

事実と虚構の間

連邦議会議事堂を占拠した熱烈なトランプ支持者のなかには、「ディープステイト(闇の政府)」がアメリカ社会を支配しているという陰謀論を信じる「Qアノン」なるグループがいるという。『エデュケーション』は、連邦政府が秘密結社に支配されているばかりか、いままさに大災厄によって世界の終わりが訪れると信じるモルモン教の原理主義者(サバイバリスト)の家庭に生まれた女性の物語。行政を拒否する父親によって高校までいちども学校に通えなかった著者は、自らの意志で大検を受けて大学に入学し、ケンブリッジ大学、ハーバード大学で学び、哲学の修士号と歴史学の博士号を取得する。

トランプを大統領の座に押し上げたのは、SNS(ソーシャルネットワーク)を使った巧妙な心理操作だったと告発するのが『マインドハッキング』。フェイスブックの「いいね!」をビッグデータで解析するだけで、わたしたちの性格はほぼ完璧に読み取れるのだという。ハッカーの若者の冒険譚としても出色。

1980年に批評家ロラン・バルトが交通事故死した。これがじつは殺人事件だったとの奇想が『言語の七番目の機能』。ミシェル・フーコー、ジャック・デリダ、ジル・ドゥルーズなどポストモダン思想のスーパースターが次々と登場し、皮肉と諧謔の餌食にされていくのが楽しい。

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