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「胸のカタチ変じゃないかなぁ」「○○ちゃんも送ってよ」SNSからトラブルに巻き込まれる子どもたち

SNSがきっかけで、子どもたちが犯罪に巻き込まれるケースが増えている。親の目の届かぬSNSで、子どもたちはどのようなやり取りをしているのか。ルポ『つけびの村』が話題を呼んだフリーライターの高橋ユキさんが、「事件」を通して現代の子どもたちを取りまく「危険」を綴る。

未成年の少女たちがSNSに登録すると何が起こるのか

 今春より日本で公開中の映画『SNS-少女たちの10日間-』は、未成年の少女たちがSNSに登録すると何が起こるのかを検証したチェコのドキュメンタリーである。

 オーディションで選ばれた18歳以上の3人の女性たちが、12歳という設定でSNSを始める。精神科医や弁護士など、専門家たちによるケアを受けながらの撮影。そこに広がるのは実際の12歳の少女にとってはあまりにも過酷な世界だった。わずか10日間の撮影期間中、彼女らの元には、2458人もの男性たちからコンタクトがあり、またその多くが、自身の陰茎の動画像を送りつけるなど、性的加害を加えていたのだ。さらには直接会いたいと言い出す者、少女の裸の写真を求める者まで現れる。加害男性のなかには撮影クルーの知人もいた。成人男性による女児への天井知らずの性的欲求をつぶさに記録した本作は、チェコでの公開後に大きな話題となり、警察も捜査に乗り出す事態となった。

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相談者の4人に1人が未成年

 日本においても、児童によるSNSの利用が事件の入口となるケースは少なくない。警察庁が3月に公開した『令和2年における少年非行、児童虐待及び子供の性被害の状況』にまとめられている「SNSに起因する事犯の被害状況」によれば、令和2年の児童ポルノ禁止法違反被害児童数は、平成23年と比べて約3倍。昨年度の新型コロナウイルス感染拡大による行動様式の変化により、他の事案についても検挙数が減少していることを加味すると、概ね増加の一途をたどっていると言ってよいだろう。

 先の映画『SNS -少女たちの10日間-』では、12歳になりすました女性たちに裸の写真を送るよう求める者も少なからずいた。日本にもこうした事案は当然のごとく存在する。警察庁への情報公開請求により入手した『私事性的画像被害防止法に係る相談等状況』において、平成28年には1063件であった相談件数は、令和2年に1570件と約1.5倍に増加している。「画像を公表すると脅された」という相談が最も多く、次が「画像を所持されている、撮影された」。被害者の性別は9割が女性だ。世代別にみると19歳以下は20歳代に次いで2番目に多い27.3パーセント。相談者のおおむね4人に1人が未成年ということになる。

 日本における18歳未満の児童たちの、SNS利用によるトラブルの実態については同じく警察庁HP「児童がネット利用で実際に被害に遭った具体例」にもいくつか事例が掲載されている。46歳の男性が19歳のイケメン大学生になりすまして女子中学生のLINEグループに入りこみ、約1600人もの児童とやりとりし、そのうち約130人の女児が自分の裸の写真を送信させられた……という例もあった。

LINEスタンプ欲しさに裸の画像を送ってしまう

 未成年のSNSトラブルに詳しい、ITジャーナリストでスマホ安全アドバイザーの鈴木朋子さんはこう解説する。

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