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岸田文雄「アベノミクスで広がった格差は私が正す」

9月14日投開票の自民党総裁選が正念場を迎えている。かねてから「次の総裁選に出る」と明言し、一時は「禅譲路線」とまで言われた岸田文雄政調会長だが、今回は苦戦を強いられている。「茨の道」を進むことになった岸田氏が貫く信念とは——。

総裁選は究極の権力闘争

「乱世のリーダーは岸田じゃない」

最近、こんな言葉を耳にします。どうやら、きっかけは10万円の特別定額給付金を巡る話のようです。当初は政調会長の私が提案した「減収世帯への30万円給付」が決まりましたが、その後「全国民への一律10万円給付」に変わったことで、「調整力不足だ。岸田は乱世に向いていない」と。しかし、あれは党内手続きまで終わっていたものを状況の変化の中で、与党のトップ会談で方針を変更したもの。政策判断の話であり、乱世云々の話ではありません。

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岸田氏

政治家人生を振り返れば、節目節目で激しい権力闘争に直面してきました。初当選の1993年は細川護熙内閣が発足し、自民党が初めて下野した年。まさに乱世でした。新党ブームの中で政局が目まぐるしく動き、権謀術数が渦巻く中で国会議員としての第一歩を踏み出したのです。

最も印象に残っているのは、2000年11月の「加藤の乱」。宏池会の会長だった加藤紘一先生が森喜朗内閣への不信任決議案に同調して倒閣に動いたのですが、執行部の猛烈な切り崩し工作に遭い、結局、「名誉ある撤退」を選びました。私は宏池会の一員として最後まで加藤先生を支えましたが、この結末を見て、ひとたび戦いを始めたら、勝つまで戦い抜かなければならないと肝に銘じました。これは、今の境遇にも当てはまります。総裁選はいわば究極の権力闘争ですから。

「岸田は総理からの禅譲を待っている」との批判もありましたが、そんなことはありません。総理からも「あなたに譲るよ」などと言われたことは一度もない。今はこの厳しい戦いを己の力で勝ち抜くことしか考えていません。

二階幹事長と麻生副総理から

安倍総理辞任の速報が流れた8月28日、私は出張先の新潟にいました。総理から簡潔に「こういうことになった」と電話を頂きましたが、まさに青天の霹靂でした。夕方、官邸にお邪魔して、孤独やストレスに打ち勝ち、身を削りながらも経済や外交などで大きな成果を上げたことに心から敬意を申し上げました。

かねてから「次の総裁選に出る」と明言しており、二階俊博幹事長や麻生太郎副総理からは多くのご指導を頂いてきましたが、穿った見方をする報道も多く、困惑しています。

お互い派閥を率いていますから、二階幹事長とは選挙区調整などでぶつかることもあります。しかしながら「距離がある」といったようなことはありません。党の会議ではいつも隣同士ですし、第1次安倍内閣で二階さんが国対委員長だった時に私が副委員長だったご縁もあり、7月30日の夜には他のメンバーを交えて「二階国対」の同窓会をやりました。当日、たまたま安倍総理との会食が重なったことで、私が「総裁選に向けたハシゴ酒」をしていると報じられてしまいましたが(笑)。

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麻生副総理との関係も色々と言われますが、8月4日に食事をした際には叱咤激励を含め、様々なアドバイスを頂きました。ただ、麻生さんの側近・松本純さんが同席して2対1の会合だったので、「岸田には側近がいないのか」と妙な勘繰りをされてしまった。この時は松本さんを通じて麻生さんとのアポイントを取ったので、私から「一緒にどうか?」と松本さんをお誘いしたのです。

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