ツイッターとわたし__2

なりゆきではない、なりゆくのだ。|田中泰延(@hironobutnk)

わたしたちは何故Twitterをやるのか。140文字という制限ある「ことば」に、何を乗せて、誰に届けたいのか。この連載では、日々“140文字の言霊”と向き合う人びとが「自分にとってTwitterとは何か?」というテーマで文章を綴ります。第2回の筆者は青年失業家の田中泰延氏(@hironobutnk)です。

「文章で自己表現」
「書くことで誰かとつながろう」

そんな、わけのわからないことが書いてある本がある。

「あなたのフォロワーを増やして利益につなげるSNSコンサルタント」などという、あやしげな職業すら見かける。

こういう物言いや、人間のやっていることは、ぜんぶでたらめである。


【2010年4月12日
 初つぶやきなう。「なう」って書いてみたかった。】

これがわたしの最初のツイートだ。爾来、ちょうど10年。21万5千ツイート。平均100文字としても、2150万字も費やしてわたしはなにをしたかったのだろうか。

いや、なにも考えていない。夜、ツイッターになにか独り言を書きながら寝落ちし、目覚めたら握ったままになっているスマホで、またツイッターに書き込む。だれかに読んでもらいたいわけではない。返事が欲しいわけではない。1円の金にもならない。だれかの宣伝の片棒もかつがない。

「この人は、呼吸をするようにツイッターをしている」と言われる。
「田中泰延は、ツイッターに住んでいる」という人までいる。

わたしは四半世紀の間、広告代理店に勤務していて、なにかの商品の宣伝文を毎日考える、コピーライターという職務を遂行していた。それは、「文章で自己を表現する」ということからは最も遠い仕事だ。

与えられた商品について、それを短く、わかりやすく紹介する文章を書く。わたしたちコピーライターはおおげさではなく、その訓練に何万時間も費やす。

よく「ツイッターをしているのは、書きたいことが書けないコピーライターの仕事と逆で、自分を表現するためですか」と言われることがある。

とんでもない。わたしは自分を表現などしたくない。わたしはコピーライターとして、「自分に関心を持たない」訓練を受けているのだ。

だから、わたしが書くことにわたし自身の話はない。10年間、2150万字のなかで、わたしの悩みについて書かれたものはない。わたしの政治的信条について、信仰について、語ったことはない。わたしの家庭について読んだことがある者はいない。

わたしは、ただ、自分の外にあることを書く。見たこと、聞いたこと、知ったこと、起こったことを書く。それに対して生じた「心象」を、すなわち「こう思った」程度のことを少しだけ書く。

同時に、わたしは他人に関心がない。だれかと「つながりたい」とも思っていない。わたしはツイッターでだれかに質問をしたことがない。

わたしは自分のことを「わかってほしい」と思ったことがない。また他人のことを「わかりたい」と思ったこともない。そもそも人間は、わかりあうことができない。

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