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霞が関コンフィデンシャル<官界インサイドレポート>

日本を動かすエリートたちの街、東京・霞が関。日々、官公庁を取材する記者たちが官僚の人事情報をどこよりも早くお届けする。

★令和皇室を支える側近

天皇陛下の最側近・侍従長に別所浩郎侍従次長(昭和50年、外務省入省)が4月1日付で昇格。宮内庁では、天皇はじめ皇族と日常的に接している職員や職域を「オク」、他省庁と同じ機能・仕事を担う官房を「オモテ」と称する独特の区分けがある。

オクの職員は「公」の部分のみならず天皇家・皇族の「私」にもかかわるため、相性のよさが人事の肝となり、その分両陛下らの意向を十分忖度した人事になってくる。

人当たりと人柄の良さではかねてからの評価が高い別所氏は、韓国大使などを歴任、昨年1月に国連大使から侍従次長になった。侍従長は特別職で定年はないが、70歳前後で勇退するのが慣例化している。前任の小田野展丈侍従長(45年、外務省)は当時72歳で別所氏の次長就任はその後釜含みだった。

昨年5月、即位後両陛下の英国訪問を花道にして、別所氏にバトンタッチするとみられていたが、コロナで人事は凍結されていた。

侍従次長になった坂根工博氏(61年、旧建設省)は、3年ほど東宮侍従としての経験がある。昨年7月に国交省国土政策局長で退任したものの宙に浮いたため、損保会社顧問で待機していた。

次長は、天皇家のスポークスマンとして、週1回の宮内記者会との定例会見を担うが、会見前に天皇陛下と綿密に打ち合わせをする立場なので、陛下の信頼も厚いということなのだろう。

平成以降、宮内庁トップの歴代長官は、旧内務省の流れをくむ省庁出身者だが、侍従長は5代連続で外務省出身が占めている。留学経験がある初めての天皇皇后であり、諸外国との交流をはじめ皇室のグローバルな活動が増えるはずだ。そうした流れを見据えた人事とも言えるが、コロナ禍での皇室活動のあり方や令和皇室のカラーをどう演出するか、課題は山積している。

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皇居

★ワクチンで中国包囲網

菅義偉首相は予想外の外交成果を手にするかもしれない。日米首脳会談で初めて顔を合わすジョー・バイデン大統領に提案するのは「ワクチン外交計画」である。

この計画は、日本がインド製の新型コロナワクチンを大量に買い上げ、ベトナム、インドネシアなどASEAN10カ国に供給するというもの。

インドにはワクチン製造の世界最大手のセラム・インスティチュート・オブ・インディアなど国産コロナワクチンメーカーが4社あり、1億本(1本は接種6回分で6億回分)を10億ドル(約1080億円)で購入する予定だ。

ワクチンの購入元は、国際協力銀行(前田匡史総裁)、三井物産、住友商事が出資し、シンガポールに設立される特別目的会社となる。

このワクチン計画は、中国に対する強烈なメッセージにもなる。カシミール地方の領有権問題で、パキスタンの背後にいる中国と対立を深めるインドを日米豪印4カ国(クアッド)に引き付ける意味合いもあるからだ。

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