
【97-教育・科学】【スーパー子育て母親の主張】 「非認知能力」を育てる これが国際基準|ボーク重子
文・ボーク重子(ライフコーチ)
「子どもが幸せで学力も上がる」教育
日本の子どもたちは幸せじゃなく学力も落ちてきている、というショッキングな結果が次々と発表されています。ユニセフが実施した子どもの幸福度調査では精神的幸福度が38カ国中37位。小中高の自殺者数は過去5年横ばいから上昇傾向にあり、いじめは過去最高。OECDの学習到達度調査(PISA)では前回よりランクを下げています。
このままでは大変なことになります。今こそ「子どもが幸せで学力も上がる」教育が必要です。鍵は非認知能力(主体性や柔軟性、自己肯定感にコミュニケーション力などテストでは測れない能力)の育成にあります。
学力のみならず高い非認知能力が問われる「全米最優秀女子高生」コンクールで娘が優勝したのは2017年になります。「幸福度と学力の向上に寄与する」ことが証明されている非認知能力はこれから必須の能力ですが、当時日本では「非認知能力」という言葉はほとんど聞かれませんでした。そこで非認知能力の重要性を一人でも多くの方に知っていただきたいとの願いから執筆したのが『世界最高の子育て』『「非認知能力」の育て方』です。著書の中で私が言っているのは「これからは基礎学力(認知能力)+非認知能力が教育のベースになるべき」ということです。
それはなぜか? グローバル化・多様化・AI化に加えてポストコロナと変化が加速する社会では、これまでの点数・偏差値など数値化できる基礎学力だけでなく、別の能力が必要となるからです。それが2000年にノーベル経済学賞を受賞したジェームズ・ヘックマン博士の研究で「人生の幸せと成功に大きく寄与する」と注目を集めた非認知能力です。そこには主体性や柔軟性だけでなく自信・自制心・回復力・やり抜く力・好奇心・コミュニケーション力・共感力・協働力・社会性・内的動機づけなどの能力が含まれます。
この非認知能力が幸福度と学力向上に寄与することを証明する研究結果もここ数年多数報告されています。
2015年、OECDの報告書にはアメリカ、イギリス、スウェーデンなど9カ国から「社会的情緒教育(SEL)」は学力向上・幸福度向上・生きる力の習得に役立ったという結果が報告されています。また3年に一度実施され、日本でも話題を集めているPISAですが、上位常連組のシンガポールのほかメキシコ、インドネシアでも非認知能力を育成するプログラムを実践しています。いち早く子どもの非認知的な能力を育むことにシフトしたフィンランドは、学力はPISAでは数学は近年下がり気味とはいえ、他は毎回トップクラス、ユニセフの幸福度調査でも4位です。