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「戦狼」対策は豪州に学べ 驕れる中国とつきあう法 山上信吾(駐豪州大使)

「とてつもないオウンゴール」で豪州国民に警戒感が広がった。/文・山上信吾 (駐豪州大使)

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山上氏

日本外交官を試す「踏み絵」

「アンバサダー・ヤマガミ、何故日本はオーストラリアより遥かにうまく中国とやっているのですか?」

豪州着任以来、何人もの豪州人から聞かれてきた質問である。

外交の世界に足を踏み入れて40年近くになる。ようやく最近になって悟ってきたが、外交官はしばしば試される。踏み絵を踏まされるのだ。この質問が典型だ。

仮に「そうですね。日本は……」などと、したり顔で答えようものなら、蟻地獄に入る。「新任の日本大使はモリソン政権の対中政策を批判した」として利用されるのは必至だからだ。実際、このような質問をしてくる人の多くは、モリソン政権の対中アプローチや政策に懐疑的な立場だった。

そこで私は、少し意地悪な切り返しをすることにしている。

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