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2020年5月の記事一覧

外出自粛の「2分間ストレッチ講座」 筋肉は裏切らない!

2週間体を動かさないだけで、人間の体力は衰える。必要なのは、適度な運動! 肩凝り、腰痛に効く「超ラジオ体操」の著者が、超カンタンにできる運動不足解消ストレッチを教えます。/文・谷本道哉(近畿大学准教授) 谷本氏 まずは正しい姿勢から新型コロナウイルスの感染拡大を受けて政府が発表した「緊急事態宣言」からひと月以上が経ちました。今も多くの人が外出の自粛を余儀なくされ、終日をほぼ自宅で過ごしているのではないでしょうか。 もともと運動習慣のない人は、日常生活が日々の活動量の主な

三遊亭兼好×春風亭一之輔  「コロナ〝鍋〟をぶっ飛ばせ!」

寄席には人がひしめき、落語会のチケットも入手困難。そんな人気落語家の春風亭一之輔(42)、三遊亭兼好(50)両師匠も、コロナ鍋もといコロナ禍で予定が空白に。口が躍る、今しか聞けない貴重な対話。 初めての落語配信兼好 噂に聞いたんだけど、昨晩(4月21日)から、ユーチューブで配信を始めたんだって? 一之輔 そうなのよ。本当は上野の鈴本演芸場で、4月下席夜の部のトリを務めるはずだったんです。だから同じように30日まで10日間、生配信で落語をやろう、と。 兼好 目の前にお客さ

川崎殺傷犯、元農水次官長男、“低脳先生”……「就職氷河期世代」孤独と悲哀の事件簿|広野真嗣

自尊心と敗北感の狭間で彼らは何を見たのかーー。ロスジェネ世代のノンフィクション作家が「同世代の事件」を追った。/広野真嗣(ノンフィクション作家) 約20年の“空白期間” 猛っていた。1年前の6月24日の夜、福岡の繁華街・天神近くにある建物内で待ち伏せしていた42歳の中年男は、トイレで有名ブロガーに襲いかかり、ナイフで十数か所も刺して殺害した。現場から自転車で逃げたが、約2時間後、ネット掲示板に書き込んだ。 〈おいネット弁慶卒業してきたぞ 改めて言おう これが(略)俺を「低

連載小説「李王家の縁談」#6 |林真理子

【前号まで】 韓国併合から八年経った大正七年(一九一八)。佐賀藩主の鍋島家から嫁いだ梨本宮伊都子妃には、方子という娘がいた。当時、迪宮(後の昭和天皇)の妃候補として、方子の従妹にあたる、良子女王との縁談が進んでいた。そこで伊都子妃は、韓国併合後に皇室に準ずる待遇を受けていた李王家の王世子、李垠に方子を嫁がせようと奔走する。なんとか納采にはこぎつけたものの、李太王の死去により、結婚は一年延期となってしまう。 ★前回の話を読む。  それにしても延期の一年間は長かった。思いもか

マスクや防護服を提供する余裕はどこに? 「赤字1兆円」SBGと孫正義は生き残れるか

今年2月の決算説明会。「私は冒険投資家だ」と高らかに宣言した孫正義氏。だが、“稀代の投資家”は、62歳で泥沼にはまっていた。ウィー、ウーバー、OYO……この窮地を切り抜けることができるのか?/文・大西康之(ジャーナリスト) 2兆円規模で株価防衛4月13日、ソフトバンクグループ(SBG)は2020年3月期の営業利益が1兆3500億円の赤字になる見通しを発表した。実は、この巨額赤字が明らかになる1カ月ほど前から、孫正義会長兼社長は、ヘッジファンドの猛攻にさらされ、窮地に追い込ま

新型コロナ 1ヶ月で死者2万人…「涙すら出ない」スペインの今

2008年以降の経済危機で手薄になった医療をコロナが直撃。スペインの「今」は日本の近未来か、それとも――。現地在住のジャーナリストがレポートする。/文・宮下洋一(ジャーナリスト) 宮下氏 「ウイルス戦争」が始まったスペインで非常事態宣言が発令されてから、6週間あまりが過ぎた。都市は封鎖(ロックダウン)され、経済活動も停止し、街中から車も人も消え去った。ここまで静寂なスペインを見るのは初めてだった。 まるで伝染病映画を観ているようだが、映画でも夢でもない。現実の世界に私が

「米中コロナ戦争」の真相 CIAと武漢病毒研究所の暗闘

初期段階で感染状況を隠蔽した結果、一時は窮地に陥った習近平政権。トランプ政権も中国批判の声を強めていた。だが、2月末以降、米中の情勢は急転していく。習近平は、なぜ絶体絶命のピンチを切り抜けたか。/文・峯村健司(朝日新聞編集委員) 研究所発生源説新型コロナウイルスを巡り、米国大統領、ドナルド・トランプの中国批判が止まらない。 「中国国内で食い止められた可能性もあったが、実際はそうならなかった。ミスにより収拾がつかなくなってしまったのか、意図的だったのか。両者には大きな違いが

塩野七生 コロナウイルス散見記 日本人へ204

文・塩野七生(作家・在イタリア) 4月12日、執筆中だった書き下ろしの550枚、脱稿。最後に「完」と書くときの気分は、50年が過ぎようとやはり格別。その後にいつもならば、「2020年・春、ローマにて」と書くのだが、今回は、「4月12日、コロナウイルスのおかげで外出厳禁中のローマにて」と書いた。だが、これが店頭に並ぶのは12月に入ってからだから8カ月後。多分、最後の1行は書き直すことになるだろう。 とまあこんな具合で、イタリアを襲ったロックダウン現象は、私個人にとっては少し

藤原正彦 格言あれこれ 古風堂々13

文・藤原正彦(作家・数学者) 2月以来、世界はコロナ一色と化した。スポーツも芸術も街の賑わいもなくなり、精気を失った世界は白黒映画のようだ。この中で日頃、数多い友達との他愛ないおしゃべり、コンサート、映画、美術展、テニス、ゴルフ、登山などにうつつを抜かしていた女房は、暗さ何するものと心機一転、吉川英治の『新・平家物語』全16巻に取組み、ついに完読してしまった。私も女房のように鈍感になって、コロナチャンスをものにしたいと思うのだが、死亡者の8割は高齢者などと聞くとついテレビを

納豆、エリンギ…「腸内細菌」を鍛える食事法で免疫力を上げよう!

「これさえ食べれば大丈夫」という食べ物はない。自分に合った食べ物を食べることが大切。全身の免疫機能を司る腸内フローラを活性化させ、コロナに負けない身体を作ろう。/福田真嗣(慶應義塾大学特任教授・メタジェン社CEO)|構成・青木陽子、山祥ショウコ 福田氏 免疫細胞の70%が腸にある新型コロナウイルスの流行以来、首都圏のスーパーでは納豆の品切れが続いているという。 ――納豆菌は最強。昔から酒蔵では『納豆を持ち込むと、麹菌が全滅する』と言われているくらい。だから納豆菌をたくさ

俳優・宇梶剛士×作家・川越宗一 「知れば知るほどアイヌは凄い!」

北海道・白老町に国立アイヌ民族博物館がオープン。アイヌの母を持つ宇梶さんと、直木賞受賞作「熱源」でアイヌの人々を描いた川越さんが、その文化の魅力を語り合った。/文・宇梶剛士(俳優)×川越宗一(作家) 自前のアイヌ衣装で宇梶 川越さんが19世紀末から20世紀半ばにかけての厳しい時代を生き抜いたアイヌの人々を描いた『熱源』(小社刊)をとても面白く読ませてもらいました。僕は劇団をやっていまして、昨年、やはりアイヌの地を舞台とした脚本を書くために関連の書籍を読み漁っているときに、妻

スープ作家の有賀薫さんが教える 「コロナに負けない体を作るスープ」

コロナウイルスの影響で外出も難しい今、家でスープを作ってはどうでしょうか。栄養バランスの取れたスープを食べれば体調も整いやすく、暖かな食事は気持ちをホッとさせます。そんなスープのレシピを、『朝10分でできる スープ弁当』などの書籍が人気の有賀薫さんにご紹介いただきました。/文・有賀薫(スープ作家)、写真=志水隆 有賀氏 スープと健康「新型コロナウイルスにあおさ海苔が効く」というデマが流れたことがあったのを覚えていますか?いかにも怪しい話で、信じる人なんているのかと思いつつ

マンガ「大地の子」第3話 この子売ります|原作・山崎豊子

第3話 この子売ります★前回の話を読む。 ★次の話を読む。 ★最初から読む。 原作:山崎豊子 大正13(1924) 年、大阪市に生れる。京都女子大学国文科卒業、毎日新聞大阪本社に入社。昭和 32 年、生家の昆布商を題材にした処女長篇「暖簾」を書下し刊行。翌 33 年、「花のれん」で第 39 回直木賞受賞。同年退社、執筆に専念。主な著書に『白い巨塔』『不毛地帯』『二つの祖国』『大地の子』『沈まぬ太陽』など。平成 3 年に第 39 回菊池寛賞、 21 年に『運命の人』で第 63

「コロナ鬱」にならない外出自粛生活術

家で過ごす時間の増えた私たちが懸念すべきは〝鬱〟である。意図的にコロナに関する情報から完全に切り離された時間を作ることがポイントだ。/文・岩波明(精神科医・昭和大学医学部精神医学講座教授) 岩波氏 憂鬱感は鬱病の前段階「今日会ったあの人は、もしかしたらコロナに感染していたかもしれない」「万が一、自分も感染していたらどうしよう……」 世界中で死者が日に日に増え、日本でも感染爆発、医療崩壊といった不穏なニュースが流れています。これはわれわれが今まで経験したことのない事態です